AI主導の業績好調にもかかわらず、Palantir Technologiesの株価は決算直後に約12%急落した。世界売上の減少や割高なバリュエーションが懸念されたが、Wedbushは政府支出削減局面における「AIP」需要の拡大余地を評価し、2025年のトップピックとして同社を再評価した。
米商業部門の売上71%増、EPS倍増、フリーキャッシュフロー急増という強力な財務実績を背景に、国防関連「TITAN」契約の進展も長期成長の鍵となりうる。ただし、株価の高評価水準と海外市場の鈍化により、短期的な上昇余地には慎重な見方もある。
アナリストの間では依然として評価が分かれ、強気と中立の見解が併存する中、米国商業売上の継続拡大と防衛ビジネスの収益化が、今後の株価動向を左右する重要要素となる見通しである。
決算は好調も株価急落 米国事業の成長と海外低迷の対比が明暗を分ける

Palantir Technologiesの2025年第1四半期決算は、売上前年比39%増の8億8400万ドル、EPS倍増、フリーキャッシュフロー3億7000万ドルと、アナリスト予想を大きく上回る成果を示した。中でも米国商業部門は前年比71%の急成長を遂げ、顧客数も769社へと拡大した。米市場の堅調さが際立つ一方、海外商業部門は前年比5%減、前四半期比11%減と厳しい結果に終わり、欧州経済の不透明感や関税懸念が影響したとみられる。
株価は決算翌日に約12%下落し、市場の期待値の高さが裏目に出た格好となった。米国での業績躍進にもかかわらず、全体のバランスやバリュエーションに対する警戒が株価の重荷となった形である。将来予想PERは186倍に達し、業界中央値の20倍や同社の過去5年平均126倍を大きく上回っており、極端な評価が下落要因と見なされた。
今後の焦点は、米市場の強さを維持しつつ、停滞する海外売上の回復をいかに実現するかにある。市場の成長性は依然として高く、商業契約の拡大余地も大きいが、外部環境の不確実性がその展開を左右しうる。投資家の視線は、短期的な期待収束と中長期の安定的拡大の両立に注がれている。
国防分野での攻勢とWedbushの強気見解が示す将来性の源泉
米陸軍との1億7800万ドル規模の「TITAN」契約は、Palantirの成長戦略の中核をなす要素とされる。トラック搭載型AIプラットフォームにより、陸・空・宇宙のリアルタイムデータ処理と標的選定が可能となり、これは国防分野での技術的優位性を明確に裏付けるものである。契約には100〜500台の追加導入オプションが含まれており、継続的な収益源となる可能性を内包している。
このような展開を受け、WedbushはPalantirを2025年のトップピックと位置づけた。同社のアナリストは、連邦支出の1,650億ドル削減がむしろ「AIP」のような効率化ツールの需要を刺激するとの見解を示した。政府機関のコスト削減ニーズが、Palantirの製品導入を加速させる環境を形成するという論点に基づいている。
ただし、こうした防衛ビジネスの収益性は契約履行の長期性や予算執行の不確実性に左右されるため、収益認識のタイミングには慎重な見極めが必要である。防衛関連市場が成長を支える土台となるのは確かだが、投資判断にはこれらの不確実性と期待の釣り合いが求められる状況である。
バリュエーションの極端化が映す市場期待と慎重姿勢の共存
現在のPalantir株は、予想PERが186.43倍という極めて高い水準にあり、これは過去平均や業界水準を大きく上回る。2025年に入り45%の上昇を記録し、過去1年では400%超の上昇率を示したが、足元では評価過熱感が否定できない。平均目標株価84ドルに対して現在の水準は割高との見方が多く、アナリスト20人中12人が「ホールド」と評価する状況が示すように、市場の楽観と警戒が交錯している。
この背景には、AI・防衛・政府向けDXという三位一体の成長シナリオがあるものの、それがすでに株価に相当程度織り込まれているとの判断が働いている。株価上昇余地の限定性が意識される一方、Palantirは過去にも「割高」の評価を跳ね返してきた経緯があり、今後も業績の継続的な伸長や新規契約の進展次第で株価が再評価される可能性は残る。
年率30%超の利益成長を見込む中長期の投資対象としては依然魅力があるものの、短期的には押し目を慎重に見極める姿勢が求められる。市場の熱狂と冷静さの間で揺れる現在のPLTR株には、選別的なアプローチが不可欠といえる。
Source:Barchart.com