Asusが開発中のROG Ally 2シリーズに関する詳細がリークされた。注目すべきは、AMDのZ2 Extremeプロセッサと64GB LPDDR5xメモリを搭載するブラックモデルで、Xbox専用ボタンを備えた点が特徴とされる。このモデルは、最大35WのTDPと16基のCUを誇る統合GPU「Radeon 890M」も内蔵し、x86アーキテクチャの維持によってPCゲームとの高い互換性を確保している。

一方、ホワイトモデルには新型APU「Ryzen Z2 A」が採用され、TDPは6W〜20Wとされる軽量構成で、主に一般向けを想定した製品と推測されている。ディスプレイは両モデルとも7インチ・120Hz仕様であり、ハードウェア面での差異は処理能力に集約されている。

今回のリーク情報は91mobilesおよびX上の著名リーカーから発信されたもので、米FCCの登録情報とも照合可能であることから、信憑性は高いと見られる。今後の正式発表では、Microsoftによるソフトウェア最適化の全容にも注目が集まる。

AMD Z2 ExtremeとRadeon 890Mの搭載が示すハンドヘルド性能の到達点

ROG Ally 2ブラックモデルに搭載されるAMD Z2 Extremeは、8コア16スレッド構成のプロセッサであり、最新のZen 5とZen 5cコアを混在させたハイブリッドアーキテクチャを採用している。

これに加え、16基のCompute Unitを備えた統合GPU「Radeon 890M」が搭載されており、TDPは最大35Wとされる。メモリはLPDDR5x-8533規格の64GBを搭載し、ストレージも2TBのNVMe SSDとされるなど、モバイル端末としては異例の高水準構成である。

これらの仕様は、従来のゲーミングノートPCに匹敵する処理能力を持ちながら、持ち運び可能なフォームファクタを実現していることを意味する。特に、x86アーキテクチャを継続採用している点は、既存のWindowsベースのゲーム資産との高い互換性を確保する上で極めて重要である。AsusがROG Ally 2においてもこの基本方針を堅持したことは、クラウドゲーミングやARMベースデバイスとの差別化にもつながる。

Microsoftが関与することで、今後はXbox Game Passとの連携や、OSレベルでのゲーミングUI最適化といったソフトウェア面での進化も視野に入る。特にXbox専用ボタンの存在は、ハードとソフトの一体化に向けた象徴的な構造と見なされる可能性が高い。

ホワイトモデルが担う軽量セグメント戦略とAPU「Ryzen Z2 A」の実験性

ホワイトモデルに搭載される「Ryzen Z2 A」は、従来のZ1シリーズから派生したとされる新型APUで、クアッドコア構成および最大20WのTDPという仕様が判明している。

メモリは16GBとされ、ディスプレイはブラックモデルと同様に7インチ120Hzという仕様で揃えられているが、内部アーキテクチャやGPUの詳細は不明であり、同APUが既存の「Aerith」あるいは「Van Gogh」の系譜に連なるものと見られる点が注目される。

このホワイトモデルは、コストパフォーマンスと消費電力効率を重視したセグメントに位置付けられており、価格帯も抑えられる可能性がある。これにより、従来のROG Allyシリーズが抱えていた高価格帯ゆえの市場制約を打開し、より幅広い層への浸透を図る戦略の一環と解釈できる。特に、クアッドコアAPUと7インチ高速ディスプレイの組み合わせは、携帯性と映像体験のバランスを意識した構成といえる。

APUのOPNコード「100-000001835」は、これまでに登場していないものであり、AsusとAMDが共同で進める実証的な試みに近い側面を含んでいる可能性もある。仮に本モデルが成功を収めれば、今後のSteam Deckや他の携帯型PC市場に対して強力な圧力となり得る。

Source:Tom’s Hardware