サイバーセキュリティ大手クラウドストライク(CRWD)は、全従業員の約5%にあたる人員を削減すると発表し、これにより最大5,300万ドルの費用が発生する見込みとなった。これを受けて株価は5月7日に5%超下落したが、同社の業績見通しや粗利益率の高さを根拠に、アナリストは依然「強い買い」評価を維持している。
Piper SandlerやMizuhoは今回の解雇を成長戦略の一環と捉えており、著名投資家ジム・クレイマーも長期的視点での有望銘柄と評価する。短期的な株価調整の可能性はあるものの、2025年に向けた収益成長と効率経営の推進により、株式の投資妙味は引き続き注目に値すると言える。
5%の人員削減と業績見通し再確認が示すクラウドストライクの経営戦略

クラウドストライクは2024年5月7日、全従業員の5%に相当する規模のリストラを発表し、株価は当日5%超の下落に見舞われた。同社はこの措置により最大で5,300万ドルの費用が発生すると見込んでいる一方で、2026年度通期の業績目標をあらためて強調している。この方針は、一部部門の効率化を進めつつ、依然として顧客対応や製品開発といった成長領域では人員を増やす構えであり、単なるコスト削減ではなく戦略的再配置の一環と受け取られる。
Mizuhoのグレッグ・モスコウィッツ氏は、同社の経営陣を「収益性の高いスケールアップに注力する思慮深く実利的な存在」と評しており、75%という高水準の粗利益率と合わせて「アウトパフォーム」の投資判断を再提示している。こうした評価からは、今回のレイオフが短期的な収益圧力に対する反応ではなく、むしろ長期的な競争優位性を強化する布石であるという見方がにじむ。
経営陣が繰り返し業績目標を明言している点も注目に値する。これは市場の動揺を抑える意図に加え、クラウドストライクが外的な市場環境の変化に左右されず、自律的に成長計画を遂行する意志の表れと読み取れる。事実として株価は4月初旬の安値から40%以上上昇しており、今回の発表も一時的な調整に過ぎない可能性がある。
株価下落にもかかわらず続く強気評価と慎重な投資判断の必要性
クラウドストライク株(CRWD)は、5%超の急落後もアナリストからの強気評価が継続している。Barchartによれば、現在の市場コンセンサスは「Strong Buy(強い買い)」に維持されており、Piper SandlerやMizuhoなど複数の調査機関がポジティブな見解を示している。さらに、著名投資家ジム・クレイマー氏もCRWD株を「長期的に素晴らしい銘柄」と表現しており、同社が構造的な成長性を有しているとの期待感が根強いことを物語る。
ただし、現時点での株価は既に4月初旬から40%以上上昇しており、目標株価平均である411ドルをわずかに下回っている点から、短期的な天井感が意識されている。Barchartの分析では、ここから3%程度の調整リスクがあるとされており、投資判断においては一段の押し目を待つ余地も考慮されている。
特に注視すべきは、今回の解雇が株価に与えた即時的な影響と、それに対する市場の反応の乖離である。ファンダメンタルズに基づけば評価は維持される一方、投資家心理や短期的な利益確定売りの影響が明確に現れた。これは、高成長株における評価と価格の非線形な動きを示す一例であり、長期投資においては目先の変動に惑わされない視座が求められる局面である。
Source:Barchart