Super Micro Computer(SMCI)の株価が2024年5月7日に6%以上下落した。2025年度売上予測を218億~226億ドルへと引き下げたことや、四半期利益が前年同期比で53%減少したことが要因である。業績悪化の背景には、一部顧客によるプラットフォーム選定の遅延があり、売上の恒久的な減少を意味するとは限らないと見られる。

SMCI株は高値から半値に落ち込んでいるが、同社の長期戦略と市場機会は依然として健在であるとする見方もある。Needhamのクイン・ボルトン氏は同株に25%以上の上昇余地を予測し、「買い」評価を提示した。液冷技術での優位性や割安な株価評価を根拠とするこの見解は、ウォール街におけるSMCIへの期待感を反映している。

第3四半期業績の下振れとガイダンス再修正が与えた市場への衝撃

Super Micro Computer(SMCI)は、2025年度通期の売上見通しを218億〜226億ドルと発表し、これは直近の250億ドルからの下方修正をさらに下回る水準であった。また2024年第3四半期のEPSは0.31ドルと、前年同期比で53%の減益となり、業績鈍化が鮮明となった。これを受け、5月7日の株価は6%以上急落した。背景には、顧客側におけるプラットフォーム選定の遅延があり、短期的な売上圧力が表面化した。

ただし、この業績の軟化は完全なサプライズではなく、4月下旬の速報値ですでに下振れが示唆されていた点は見逃せない。市場の一部ではこの情報が織り込み済みとの見方もあり、急落後の株価水準には一定の割安感が意識され始めている。業績の落ち込みが一時的である可能性がある以上、短期的な調整と長期的なポテンシャルを見極める局面といえる。

今後の注目点は、顧客の意思決定が6月期および9月期にどの程度実行に移されるかである。CEOチャールズ・リャン氏は「多くの契約は次期に実現する見込み」と述べており、これが業績の回復要因となるかが焦点だ。足元の業績悪化は確かだが、その性質が恒久的なものか否かを慎重に判断する必要がある。

Needhamによる買い推奨と液冷技術への評価が示す将来性

Needhamのアナリストであるクイン・ボルトン氏は、SMCI株のカバレッジを再開し、「買い」評価を提示した。彼は同社株の年末までの目標価格を39ドルに設定しており、現在水準から25%以上の上昇余地を見込んでいる。その根拠として、業績不振の一因である書類提出の遅延などが今後解消される可能性に加え、Super Micro Computerが持つ液冷データセンター分野での技術的優位性が挙げられている。

とりわけ、ボルトン氏は液冷技術の需要拡大に注目しており、この分野で先行する同社のポジショニングを投資判断の重要な要素とした。高性能コンピューティングやAI用途の拡大により、冷却効率とエネルギー管理が今後の競争力を左右すると見られており、SMCIの技術はその中核を担い得る。

株価は2月の高値から半減しているものの、こうした戦略的技術力や成長市場への対応力が評価され始めていることは注視に値する。現時点での業績失速を乗り越えれば、割安感を背景とした反発余地は確かに存在している。短期的な業績と中長期の成長ストーリーが交錯する中で、投資判断には冷静な分析が求められる。

株価コンセンサスとウォール街の期待感が示唆する反転余地

現在、SMCI株に対するウォール街のコンセンサス評価は「ホールド」に留まっているものの、平均目標株価は51ドルとされており、現行株価から約70%の上昇余地がある。この点は、投資家の期待が完全に消えたわけではなく、むしろ底値圏での回復シナリオを織り込む動きが見え隠れしていることを示唆する。

特筆すべきは、業績の下振れにもかかわらず、複数のアナリストがSMCIの将来に対して前向きな見通しを維持している点である。これは、短期的な混乱が中長期の収益構造を崩す決定打ではないとの認識が共有されていることを意味する。とりわけ、AIおよびデータセンター市場の構造的成長は、同社のビジネス領域と重なるため、成長余地を後押しする可能性がある。

一方で、慎重論が完全に払拭されたわけではない。「ホールド」評価の背景には、目先の業績不確実性が依然として重しとなっている側面もある。だが、平均目標株価の高さは、投資家心理が悲観一色に傾いていない証左であり、今後の材料次第で評価が再び切り上がる可能性は否定できない。株価の反転には外的要因と市場のタイミングが鍵となる。

Source:Barchart