Nvidia株は5月8日、米商務省が「AIディフュージョン・ルール」と呼ばれる先端半導体輸出規制を撤回する意向を示したとの報道を受け、急伸した。これはバイデン政権末期に導入予定だった規制で、国別に高度AIチップの輸出可否を分ける複雑な仕組みだった。

商務省は今回の見直しについて「官僚的で革新を阻害する」とし、よりシンプルな新ルールを導入する方針を明言。Nvidiaは声明で、これにより米国が次の産業革命を牽引し、雇用創出や貿易赤字の改善につながると歓迎の意を示した。

AI半導体輸出規制の撤回でNvidia株が上昇

トランプ政権は、バイデン政権下で施行予定だったAIチップ輸出規制「AIディフュージョン・ルール」の撤回を決定し、5月15日に発効予定だった規制の見直しに踏み切った。これを受け、Nvidia株は急上昇した。新たなルールは、国家安全保障と産業競争力の両立を重視し、従来の複雑な国別3段階規制を廃止する方針とされる。

米商務省はこの動きについて「過度な官僚主義が米国のAI主導権を妨げる」と説明し、国内技術の活性化を目的とした再構築を表明した。Nvidiaは「次の産業革命を牽引する歴史的機会」と位置づけ、米国内のインフラ強化や雇用創出に期待を寄せる声明を発表。AMDやIntelも規制の見直しに好意的な姿勢を示しており、半導体業界全体に好影響を与える可能性がある。

AI市場覇権を巡る政策転換の意味

バイデン政権下で進められたAI輸出規制は、中国などへの先端チップ流出を防ぐ目的があったが、過度な制限は米国企業の競争力低下を招くとの懸念が絶えなかった。今回のトランプ政権による方針転換は、国家安全保障に配慮しつつもイノベーションを重視する姿勢の表れである。

Nvidiaのジェンスン・フアンCEOは、中国市場からの締め出しを「巨大な損失」と評しており、国際的な市場接続性を維持する重要性がにじむ。AMDのリサ・スーCEOも「制限と成長のバランス」を求めていたことから、今回の対応は業界の要望を反映した形とも言える。ただし、安全保障と経済利益の均衡は極めて繊細であり、政策転換が新たなリスクの引き金とならないよう、実行段階での慎重な調整が必要である。

Source:msn