NVIDIA株が5月6日、AI関連規制の緩和を巡る報道を受けて3.1%上昇した。報道によれば、トランプ前大統領がAIチップの輸出規制を撤回する可能性が浮上し、これが市場に「トランプ・プット」として作用、リスクオンムードを誘発した。S&P500もこれに連動して上昇を見せており、モルガン・スタンレーはこの動きを「2025年は小休止の年」と分析しつつも、中長期的な買い場と捉えている。
一方、NVIDIAはServiceNowと連携し新たなAI同僚ソリューションを発表、量子研究センター建設にも着手するなど、技術革新を加速中である。データセンター事業が前年同期比78%増と躍進を続ける中、ヘッジファンド保有数は223件に達し、アナリストの上昇余地は39.74%と試算されている。
Ithakaのレポートでも「加速計算分野で他を寄せつけない存在」と評され、エコシステム全体に高い参入障壁を持つ点が強みとされる。足元では中国企業DeepSeekの登場がGPU需要見通しを鈍化させているが、それでもNVDAは「3年で資産を築ける銘柄」として上位に位置づけられている。
AI規制の緩和報道が市場に与えた即時的影響

5月6日、NVIDIA株は3.1%の上昇を記録し、市場全体にも好影響を与えた。この背景には、トランプ前大統領がAIチップの輸出規制を見直すとの報道がある。2025年初頭から続いた株式市場の変動は、関税政策の揺れによって一層強まっていたが、今回の報道が買いの起爆剤となった格好である。S&P500は一時15%下落していたものの、4月9日の関税緩和報道後に10%反発した経緯もあり、市場心理はトランプ発言に極めて敏感であることが確認された。
モルガン・スタンレーのアンドリュー・シモン氏は、こうしたタイミングを「割安での参入好機」と捉えており、S&P500が15%下落した18事例のうち、翌年平均14%のリターンが得られたという統計も引き合いに出した。これらのデータは、短期的なショックに過度に反応せず、構造的な回復力を冷静に評価すべきことを示している。ただし、同氏も「保証はない」と慎重な姿勢を崩さず、市場の変動性を見極めながら分散的にポジションを構築する姿勢が肝要とされる。
AIインフラの中核を担うNVIDIAの成長戦略
NVIDIAは、GPU市場の絶対的支配力を背景に、AIインフラ分野での優位性を広げ続けている。2024年Q4の売上は前年比78%増と驚異的な成長を遂げ、特にデータセンター事業が好調を牽引した。同社はServiceNowと提携し、企業の業務効率を高める新AIアシスタントを発表したほか、ボストンに量子研究センターを新設する計画も明かしており、次世代技術への布石を着実に打っている。
Ithaka US Growth Strategyは2025年Q1レターで、NVIDIAについて「加速計算分野における唯一無二の存在」と評している。同社はCUDAやAIフレームワーク、ネットワーキングなどソフトウェア面でもエコシステムを完成させており、高い乗り換えコストが競争優位性を維持する鍵となっている。一方、中国のDeepSeekが少数のハイエンドGPUで高効率な大規模言語モデルを発表したことで、GPUの必要性に疑問が生じた影響もあり、NVIDIAの株価評価はここ5年で最も割安水準に沈んでいる。しかしながら、この一時的な調整は、逆に中長期の投資好機と見なす向きも多い。
ヘッジファンドが注目する「3年で資産を築ける銘柄」としての位置づけ
NVIDIAは現在、223のヘッジファンドに保有されており、アナリストの想定する株価上昇余地は39.74%に達する。これは調査対象となった30銘柄中、3位という高い評価である。こうした支持の背景には、AI関連企業としての成長性だけでなく、利益率の高い構造や市場での浸透力がある。
Insider Monkeyが発表したリストでは、NVIDIA以外にも有望なAI関連株が多数取り上げられているが、同社の優位性は「インフラの中核」として位置づけられている点にある。特に、AIトレンドが産業全体に波及するなかで、その根幹を支えるGPUやソフトウェアプラットフォームを一手に担う企業は他に例がない。ただし、AI分野では他にも急成長中の企業があり、競争環境の変化には警戒が必要である。現時点での優位性は揺るぎないが、それが永続するとは限らず、今後の資本配分や研究開発への継続的な投資が将来の成否を分けるだろう。
Source:yahoo finance