AIソフト企業パランティアの株価が、好決算にもかかわらず12%下落した。米国市場での売上が55%増、商業部門が71%増と絶好調である一方、国際部門は10%減と落ち込み、世界的成長への不安が浮上した。ゴールドマン・サックスは、直近1カ月で株価が67%も急騰していたことから「過剰な期待が崩れた」と分析し、株価評価の高さも調整要因と指摘した。

CEOカープは自信を示しながらも、投資家の選別姿勢を容認する発言を行った。アナリストの評価は分かれ、17人中「買い」は3人にとどまる。パランティアは通年見通しを上方修正したが、米国頼みの成長構造が市場の懸念を完全に払拭できるかは依然として不透明である。

米国商業部門が牽引する一方で国際成長に陰り

パランティアは2025年第1四半期において、売上高が前年同期比39%増の8億8400万ドルに達するなど力強い業績を発表した。特に米国市場での伸びが顕著であり、同国の商業部門は71%増、政府関連部門も55%増加するなど、同社がAI需要の拡大を着実に取り込んでいる実態が示された。

しかしながら、国際市場では対照的な動きが見られる。グローバル売上は10%減少しており、地域ごとの成長格差が顕在化している。海外展開における停滞は、競争激化や地域特有の導入障壁、さらには各国政府との関係構築の難しさといった要因が影響している可能性がある。

この不均衡な成長構造は、同社の事業基盤が地理的に偏在していることを示唆しており、長期的な安定成長には国際的な営業力や導入実績の積み上げが不可欠である。米国での好調が続く一方で、グローバル拡張戦略の修正が迫られる局面に入ったといえる。

過熱する評価と期待の乖離が株価急落を招いた

株価の12%下落は、単なる利確売りでは片付けられない構造的要因を孕んでいる。ゴールドマン・サックスのアナリストであるガブリエラ・ボルヘスは、今回の決算は「過去4四半期平均と比べて控えめな上振れにとどまる」と指摘し、急騰していた株価との乖離が修正されたと分析する。

同氏は特に、EV/売上/成長比が2.2倍という過熱気味の評価水準に注目しており、競合他社平均の0.5倍と比較しても、期待が過度に先行していたことが明らかである。足元の業績が堅調であるがゆえに、逆に期待のハードルが異常に高く設定されていたことが、今回の下落を招いたとも言える。

パランティア自身は通年ガイダンスを引き上げるなど、依然として自信を崩していないが、投資家との温度差は無視できない。CEOアレックス・カープの挑発的とも受け取れるコメントが象徴するように、市場との対話姿勢にも改善の余地が残る。株主価値の最大化を意識するのであれば、定量的成果と株価評価のバランスに対する繊細なマネジメントが不可欠となる。

市場評価の二極化が映す中長期リスクへの警戒

ウォール街におけるパランティアへの評価は明確に分かれている。17人のアナリストのうち「買い」とするのはわずか3人であり、「保留」が10人、「売り」が4人と慎重な見方が大勢を占める。平均目標株価は89.17ドルに設定されているものの、直近の下落を受けて再評価が進む可能性もある。

評価の分裂は、同社のAI技術に対する将来性と、足元のバリュエーションの高さという相反する要素によって説明される。特にウィリアム・ブレアのアナリスト、ルイ・ディパルマが指摘するように、高いソフトウェア評価倍率は売上成長の鈍化に脆弱である。この点は、今後のマージン圧力や新規契約のペースが鈍る局面では、株価の下振れ要因となり得る。

企業としての技術基盤は盤石である一方で、その価値が投資家にどう受け止められるかは常に変動する。短期的な期待と長期的な持続性のギャップにどう対処していくかが、今後のパランティアの市場評価を大きく左右することになる。今は正念場である。

Source:Watcher Guru