NVIDIAは、GeForce RTX 5060 8GBの一般向けドライバーを5月19日の小売販売当日まで公開しない方針であると報じられている。これにより、発売前の独立系レビュー公開が実質的に封じられ、購入判断に重要な影響を及ぼすと見られる。テックメディア関係者の多くは同時期に台北で開催されるComputexに参加するため、即時レビュー公開は困難な状況にある。

同GPUは前モデルと同じ8GB VRAM構成であり、RTX 5060 Ti 8GBが市場評価で苦戦した経緯を踏まえれば、性能への疑念が再燃している可能性も否定できない。ラスタライズ性能が25%向上するとされるが、信頼性のある評価は発売日以降に持ち越される見込みであり、NVIDIAの情報統制的な姿勢には一部から疑念の声も上がっている。

NVIDIAがドライバー公開を意図的に遅延 レビュー封じの構図が浮上

NVIDIAは、GeForce RTX 5060 8GBの一般向けドライバーを5月19日の販売開始日までリリースしない方針を採っている。これは、レビュー公開のタイミングを実質的に発売日以降に制限する措置とみられ、テックメディアによる独立した性能検証が事前に行えない構造を生んでいる。Igor’s Labはこの件について、「ドライバーが提供されるのは19日であり、その日に環境へ戻れないためテストも遅れる」とコメントしており、主要なレビュアーが即時に検証を行えない点を強調している。

さらに、この時期はComputex 2025と重なっており、世界各国のメディアが現地に集結している状況下では、レビュー体制の確立自体が難航することは避けられない。Hardware Unboxedもすでに複数のRTX 5060カードを所持しているが、ドライバーが存在しない以上、性能比較の公開は不可能とされる。

このように、一般販売前に評価が出揃わないまま市場に流通するGPUは異例であり、購入判断を慎重に行いたいと考える層にとって不透明感を強める要因となっている。

この措置は、マーケティング主導による販売戦略の一環と解釈される可能性もあるが、NVIDIAが実際のパフォーマンスに対して慎重な姿勢を取っている表れと見る向きもある。過去にRTX 5060 Ti 8GBが性能面で厳しい評価を受けた経緯を鑑みるに、同様の批判を回避しようとする意図があるとも考えられる。ドライバー遅延によって市場の反応を操作しようとする姿勢には、一定の疑念も付きまとう。

RTX 5060のスペック構成が呼ぶ懸念 8GB VRAMの限界とTi版の轍

GeForce RTX 5060は、前モデルと同じく8GBのVRAMを搭載しており、これが2025年現在の最新ゲームに対して十分かどうかという点に関心が集まっている。特に、RTX 5060 Ti 8GBが高負荷タイトルで期待を下回る結果に終わった背景を考慮すると、今回も同様の課題を抱えている可能性は否定できない。NVIDIAはラスタライズ性能が従来比で25%向上していると主張するが、その数値はあくまで内部検証に基づくものであり、独立した実地検証が伴わない以上、信頼性には限界がある。

現状、VRAMの容量は4Kやレイトレーシングを前提としたゲーム環境ではボトルネックとなりやすく、8GB構成のカードが中長期的なゲーミング用途に耐えられるかは明確な保証がない。これまでのレビューによれば、同じ容量でもバス幅や帯域、キャッシュ構造の差によって体感性能は大きく左右されるため、単なるスペック表記では評価しきれない点がある。

Tiモデルがリリース当初にレビュー公開を制限されていた事実と、今回のドライバー遅延は奇妙な一致を見せており、共通して性能上の弱点が存在するとの推測が業界内で語られている。仮にNVIDIAがこれらの要素を踏まえて意図的に情報公開を制御しているとすれば、消費者の信頼を損なうリスクも孕む。スペック面の不透明さが払拭されない限り、RTX 5060の市場評価は慎重な姿勢を伴うものとなるだろう。

Source:Wccftech