AppleはM4チップ搭載の最新iPad ProやMacBookに続き、2025年末にはM5チップを搭載した新製品群を投入予定とされるが、同時にコードネーム「Komodo」のM6や「Borneo」のM7、さらに「Sotra」と呼ばれる高度なMac向けSoCの開発を進めていることが明らかになった。

これに加え、AI関連ではBroadcomと提携し、現行のM2 Ultraを超える性能を目指したAIサーバーチップ「Baltra」を計画中で、2027年完成を目指すと報じられている。M3 Ultraの最大6倍のCPU・GPUコアを備える試作チップも存在するとの情報は、Apple Intelligenceを巡る競争における優位性強化の可能性を示唆している。

ただし、AppleはNvidiaのAIサーバーへの投資や日本のチップメーカーとの提携といった複数の戦略を模索しており、その全容や最終的な成果は依然として不透明である。

Appleが進めるM6・M7・Sotra開発とAIサーバーチップBaltraの全容

Appleは現在、次世代MacとiPad向けのM6およびM7チップ、さらに「Sotra」と呼ばれる最先端Mac向けSoCを開発しているとBloombergが報じた。M4チップはすでに2024年5月にiPad Proへ投入され、10月にはMacシリーズに拡大、2025年3月にはMacBook Airでも採用された。

M5チップも2025年末に登場予定とされ、次々と新世代が控える中、注目を集めるのは既存のM2 Ultraに代わるAIサーバーチップ「Baltra」である。このチップはBroadcomと共同開発され、2027年の完成を目指している。M3 Ultraの最大6倍のCPU・GPUコア数を持つ試作チップの存在も報じられ、Apple Intelligence関連機能の強化を支える可能性が指摘される。

ただし、NvidiaのAIサーバー導入や日本のチップメーカーとの協議といった動きも並行して伝えられており、Appleの全体戦略は複雑な様相を呈している。今後の進展が業界の競争地図を塗り替える可能性が注目される。

複線化するAppleの半導体戦略と競争優位の行方

Appleは自社開発チップのラインアップを急拡大させる一方で、AIサーバー領域ではBroadcomやNvidia、日本のチップメーカーといった外部パートナーの存在が浮上している。これは単一の技術開発だけに依存しない、複線化された半導体戦略を構築するための布石と見られる。

M6やM7、Sotraといったコードネームは既存製品群を支える基盤を強化する一方、BaltraはApple Intelligenceの新たなステージを開く鍵となる可能性を秘めている。しかし、この戦略が競争優位を確立できるかどうかは予断を許さない。

AI分野の技術進化は速く、競合は常に新たな突破口を模索しているため、Appleの挑戦は先行優位を築くだけでなく、持続可能な強さを伴うかが問われる。

将来予測に潜む不確実性とAppleの課題

報道では、M5チップは2025年末にMacBook ProやiPad Pro、さらにApple Vision Proにも投入される可能性があるとされるが、デザイン刷新は行われない見通しだ。一方、Baltraや次世代AIチップに関する具体仕様や実用化の詳細は依然として不明であり、Appleが技術優位を実際に市場競争に転換できるかどうかは依然不透明である。

加えて、外部パートナーとの提携が必ずしも順調に進む保証はなく、サプライチェーンや技術移行の複雑さはAppleに新たな課題を突きつける可能性がある。現段階では、開発中の各プロジェクトが市場投入時にどのような競争力を発揮し得るかについて、慎重な見極めが求められる。

Source:AppleInsider