ゴールドマン・サックスのマクロストラテジスト、ヴィッキー・チャン氏は、現在の経済環境において株式市場の下振れリスクが高まっていると指摘し、景気後退の可能性を45%と分析した。特に、S&P500はさらなる調整局面にある可能性が高く、経済の底打ちを待たずに株価の回復は難しいとの見方を示している。

この状況下で同社が注目銘柄として挙げたのが、ウェイスト・マネジメント、マクドナルド、アメリカン・ウォーター・ワークスの3社である。いずれも生活必需に根差した事業を展開し、不況耐性と安定収益に強みを持つ。市場全体の不安定さが続く中、防御的な投資戦略を求める投資家への指針となり得る内容である。

市場の先行きに警鐘を鳴らすゴールドマン・サックス 45%のリセッション確率を提示

ゴールドマン・サックスは2025年の市場動向について、依然として下振れリスクが残存しているとの分析を公表した。マクロストラテジストのヴィッキー・チャン氏は、S&P500がさらに下値を模索する可能性を指摘し、現在のように関税の影響を受ける「ショック」局面では、株価の底入れは経済の実態回復後になるのが通例であると強調した。同社の試算では、米国経済がリセッションに陥る確率を45%としており、依然として高い水準にあるといえる。

この背景には、利下げ期待の後退とインフレ再燃の兆し、さらに地政学的な緊張などが複合的に作用している。短期的な金融緩和シナリオに依存した相場は、経済指標の悪化や政策の不透明感に脆弱であり、投資家の警戒感も高まっている。ゴールドマン・サックスの警告は、単なる悲観ではなく、現実的な市場環境を踏まえたリスク管理の視点に立脚している。

この状況下で重要なのは、浮き沈みの激しい相場においてもブレの少ない銘柄の選定である。リターンを狙うよりも、損失を抑える姿勢が強調される局面であり、ポートフォリオの再構築を視野に入れる動きが活発化しつつある。

不況耐性の高さが評価される3銘柄 マクドナルドと公益株に注目

ゴールドマン・サックスが注目するのは、経済の動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄である。まずウェイスト・マネジメント(WM)は、廃棄物処理という日常生活に不可欠なサービスを提供し、過去10年間で375%の株価上昇を実現してきた。同社の収益のほとんどは米国内からのものであり、関税や国際的なリスク要因に影響されにくい構造となっている。

次に挙げられるのが、ファストフード大手マクドナルド(MCD)である。リーマンショックやパンデミックといった過去の経済混乱時にも、相対的に安定した業績を維持してきた実績がある。不況下では高価格帯の外食よりもコストパフォーマンスを重視する動きが強まり、MCDのようなブランド力と価格競争力を兼ね備えた企業が選ばれる傾向がある。2.24%の配当利回りも、堅実な投資先としての評価を支えている。

さらに、米国最大の上場水道事業会社であるアメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)も推奨銘柄のひとつに名を連ねる。同社は24州で1,400万人に水道サービスを提供しており、水というライフラインの特性から需要は景気に左右されにくい。2025年第1四半期には収益が13%増加し、純利益も10.81%伸びた。2.26%の配当利回りも、長期保有を後押しする要因となっている。

3銘柄に共通するのは、「必要とされ続けるビジネスモデル」に支えられた堅固な事業基盤である。市場の不透明感が増すなか、こうした安定収益型企業が改めて評価される流れが強まりつつある。

Source:Barchart