Palantir Technologiesが発表した2025年第1四半期決算は、売上が前年同期比39%増の8億8400万ドルに達し、政府・商業部門ともに大幅成長を記録した。特に米国政府向け売上は45%増の3億7300万ドル、商業売上も同71%増と好調である。AIプラットフォームAIPの導入が寄与し、国防総省との連携を含む戦略案件が業績を牽引した。
一方で、評価がすでに高水準にあることからウォール街では慎重論も根強く、成長の持続性や商業部門の拡大余地を巡る議論が広がっている。アナリストの多くは現時点で「ホールド」評価にとどめており、同社株は平均目標価格を上回る水準で推移している。
AIと国防が牽引した業績拡大 PalantirのQ1決算が示す収益モデルの進化

Palantir Technologiesが発表した2025年第1四半期決算は、政府と商業の両部門で大幅な売上成長を達成し、収益基盤の多様化が進展していることを浮き彫りにした。政府部門の売上は前年同期比45%増の4億8700万ドル、うち米国政府向けが3億7300万ドルと中心を占め、国防総省との連携やMaven Smart Systemの導入が寄与した。また商業部門の売上は3億9700万ドルで33%増、特に米国商業売上は71%増と急拡大しており、生成AIを取り入れたAIP(Artificial Intelligence Platform)の浸透が背景にある。
PalantirのFoundryやGothamに続き、AIPが新たな収益源として機能しはじめたことは、ソフトウェア企業としての競争優位を高める一因となった。特に、顧客あたりの売上維持率が124%に上昇したことは、既存顧客の継続的な利用と追加投資を示しており、製品の定着度と信頼性の高さがうかがえる。ただし政府依存の構造にはリスクも内包されており、国防予算の動向や政治的要因に影響されやすい点は中長期的な懸念材料でもある。
このようにPalantirのQ1は数値上の好調さに加え、AI基盤のプラットフォーム事業がいよいよ実効性を持ち始めた節目であったと評価できる。ただし、特定顧客群への依存体質の脱却と、商業分野の持続的拡大が次の論点となる。
慎重姿勢を崩さぬウォール街 PLTR株の評価に映るリスク意識
好調な決算と株価上昇にもかかわらず、ウォール街はPalantirに対して楽観的な評価一辺倒ではない。20人のアナリストのうち「強く買い」は3人にとどまり、「ホールド」評価が大多数を占めている。現在の株価は既に平均目標価格である84ドルを上回っており、高値圏での推移が続く中、さらなる上昇余地には疑義が呈されている。特にMizuho証券のグレッグ・モスコウィッツ氏は、PLTRの評価がすでに将来の成長を織り込んでおり、現状では割高と判断。「売り」推奨を維持しつつも、目標株価は80ドルから94ドルに引き上げるという微妙な調整を見せた。
また、過去数四半期と比較して売上成長のペースがやや鈍化している点、国際商業市場における成果が想定を下回っている点も警戒材料とされている。PLTR株が高評価を維持するには、米国市場以外での商業展開に明確な進捗が求められる。加えて、決算説明会で指摘された国防支出の見直しが今後の成長に影響を及ぼす可能性も無視できない。
現在の株価水準が将来の期待を先取りしているという点で、長期投資家は成長持続性の見極めを要する段階にある。買い増しを検討する場合は、今後の商業売上の推移と予算リスクの実体化に注目が集まる。投資判断にあたっては、華やかな業績の裏側に潜む構造的リスクへの冷静な視点が不可欠である。
Source:Barchart.com