Bluetooth 6.1の仕様が正式に発表された。新バージョンでは、8~15分間隔でランダム化されるアドレス更新機能「ランダム化RPA」により、ユーザーの追跡を大幅に困難にすることが可能となる。またこの更新処理は従来のようにCPUではなくBluetoothコントローラー側で行われるため、モバイル機器の電力消費低減にもつながるとされる。
この改良により、iPhoneをはじめとするBluetooth対応機器のバッテリー寿命改善が見込まれており、特にAirPodsなどのアクセサリとの接続維持における効率性が高まる可能性がある。Bluetooth 6.1対応のデバイスが市場に登場するのは2026年以降とされるが、一部の既存機器ではファームウェア更新による早期対応も想定されている。
今後のBluetooth 6.2への更新は2025年末に予定されており、Bluetooth Special Interest Groupによる年2回の更新体制が維持される見通しである。
プライバシー保護を一段と強化するBluetooth 6.1の新アドレス仕様

Bluetooth 6.1では「ランダム化解決可能プライベートアドレス(Randomized Resolvable Private Addresses)」の仕様が大幅に刷新され、プライバシー対策としての有効性が高まっている。従来のBluetooth 6.0ではアドレス変更の間隔が固定であったため、通信内容の傍受や個人の位置追跡に利用されるリスクがあった。しかし6.1では、アドレスの更新間隔が8分から15分のあいだでランダム化される仕組みが導入されており、これによりBluetooth信号を利用した追跡が困難になる。
加えて、更新のタイミングをデバイスごとにカスタマイズできる点も注目される。ランダム化に加え、パターンの予測可能性が大きく減ることで、公共空間における不要な検知や個人識別の脅威を軽減する効果が期待される。この設計変更は、日常的にBluetoothイヤホンやスマートウォッチを携帯する人々にとって、行動の匿名性を高める重要な進化といえる。
一方で、この仕組みをフルに活かすには、対応するデバイス同士の相互運用性が不可欠であり、現時点では市場全体の普及には一定の時間を要すると見られている。セキュリティの観点から、今後もアップデート未対応の旧機種が標的となるリスクには注意が必要だ。
バッテリー持続時間にも影響を与える処理負荷の分散設計
Bluetooth 6.1では、プライバシー機能だけでなく、電力効率の改善にもつながる設計変更が加えられている。アドレスの更新処理を端末のCPUではなくBluetoothコントローラー側で行えるようになったことで、プロセッサの負荷が軽減される。これにより、iPhoneなどのスマートフォン本体のバッテリー消費が抑えられる効果が期待される。処理のオフロードによる省電力化は、特にワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなど、常時接続を求められる機器において効果が大きいと考えられる。
AppleInsiderの報道によれば、2025年秋に登場が見込まれているiPhone 17シリーズでは、Bluetooth 6あるいは6.1の対応が予想されている。ただし、Appleが新規格の導入に慎重な姿勢をとる場合も多く、実際の対応タイミングは製品設計との兼ね合いによって変わる可能性もある。
一方で、Bluetoothファームウェアの更新が可能な一部のデバイスでは、既存機種であっても6.1機能の先行体験が可能となるケースがある。ハードウェア側の対応が前提となるため、ユーザーは所有機器のアップデート可否を事前に確認することが望ましい。省電力化とプライバシー強化の両立は、今後のワイヤレス機器選びにも大きな影響を与える要素となっていくだろう。
Source:AppleInsider