Appleは、iPhone発売20周年となる2027年に向けて、初代モデルを彷彿とさせる全面ガラス構造と完全全画面仕様を特徴とする記念モデルを開発中であると報じられている。前面のカメラやFace IDをディスプレイ下に完全に埋め込むことで、ノッチやパンチホールを廃した真のベゼルレスデザインを実現する見込みだ。
この設計は「極めて複雑」とされており、高度な製造工程が必要なため、Appleは製造地に中国を選定。近年進めてきたインドやベトナムへの分散とは一線を画す動きとなっている。2007年の初代iPhone以来の象徴的なガラスデザインへの原点回帰と、先端技術の融合による未来的なフォームファクタの両立が試みられる形だ。
全面ガラスと画面下埋込技術が形づくる20周年記念iPhoneの革新的構造

2027年に登場するiPhone 20周年記念モデルは、初代iPhoneへのオマージュを込めつつ、全く新しい構造を備える特別仕様となる見通しだ。外装はガラス素材が全面に使われ、ベゼルの存在を極限まで排した設計が採用される。特筆すべきは、Face IDやフロントカメラといったセンサー類がすべて画面下に配置される点であり、ノッチやパンチホールといった視覚的な妨げは完全に消失するという。これにより、ユーザーはまるで一枚のガラス板を操作するようなシームレスな体験を得られる可能性がある。
この先端設計は、Appleが過去に試行してきた全画面構想の到達点ともいえる。iPhone Xで導入されたFace IDやOLEDディスプレイから続く進化の流れが、20周年という節目で一つの完成形に至るのは象徴的だ。なお、この高精度な製造には極めて高度な技術が求められるため、Appleは組立工程を中国の工場に集約する判断を下したとされる。インドやベトナムへの生産移管が進む中での例外的措置であり、今回のiPhoneがいかに複雑かを物語っている。
Appleにとってこの設計は、単なる記念モデルの域を超え、スマートフォンの未来像を具現化する試金石にもなり得る。ただし、技術の進展と量産性の確保が一致しなければ、市場への導入には遅れが生じる可能性も否定できない。
高コスト化が避けられない記念モデルとAppleのコスト対策
20周年記念iPhoneは、その構造的な特殊性ゆえにコスト増が避けられないとみられている。全面ガラスの加工、画面下埋込Face ID、ベゼルレス構造という要素は、いずれも製造精度と歩留まりの面で課題が残る。さらに、Appleが製造を委託する中国工場は高性能ラインを要することから、サプライチェーン全体の最適化が一層困難となる。特に米中関係の影響で、Appleは追加関税リスクも抱える構図にあり、価格設定に大きな影響を及ぼす可能性がある。
その一方で、Appleは独自の「Cシリーズ」チップを新たに開発し、主要な構成部品の内製化を進めている。これはモデムなどの高価な外部コンポーネントを自社製に置き換える試みであり、長期的には製造コストの抑制に寄与する狙いがある。ただし、これが即時的な価格低減につながるかは不透明であり、最初の数世代においては逆に開発費用が上乗せされることも懸念される。
結果として、2027年のiPhoneは、プレミアム市場における最上位モデルとして位置づけられる可能性が高い。量産コストと販売価格の両面でチャレンジが伴うモデルである以上、Appleがどのような販売戦略を講じるのかは今後の注目点となる。製品そのものの革新性と、市場での受容性が一致するかは慎重に見極める必要がある。
Source:Wccftech