Pixel 9 Proを中心に、Google Pixelシリーズの画像処理に関する不満がユーザーから相次いで報告されている。Redditに投稿された事例では、実際のオレンジ色の車体が撮影後に赤みを帯びた画像として保存されるなど、撮影前の表示と完成画像との間に大きな乖離があることが明らかとなった。
ユーザーはRAW撮影の有効化やUltra HDRのオフ、解像度の変更といったあらゆる設定変更を試みたが、問題は解消されず、自動補正を無効化する手段がないことに不満が集まっている。さらに、撮影直後は正常に見えていた画像が数秒で変色する現象も発生し、同様の報告はPixel Tabletにも及んでいる。
Pixel 9 Proで報告相次ぐ色味変化 RAW撮影やHDR無効化でも回避不能な画像処理問題

Pixel 9 Proのカメラにおいて、ファインダーで確認できる色と実際の保存画像の色が大きく異なるという問題が複数報告されている。特に注目されたのは、Redditユーザー「u/abcde__edcba」が投稿したFord Mustang Shelbyの写真で、鮮やかなオレンジ色の車体が撮影後には赤みを帯びた画像に変化していた点である。投稿者は、RAW設定やUltra HDRの無効化、解像度の変更など複数の設定変更を試みたものの、いずれも色味の異常を防げなかったと記している。また、Pixel 9 Proに加え、Pixel Tabletでも同様の現象が報告されており、特定機種に限らない可能性がある。
さらにユーザーは、Googleフォトで撮影直後には正常に見えていた画像が、数秒のうちに色調が変化することにも言及。これは保存処理中に画像の後処理が適用されていることを示しており、撮影者の意図とは無関係に色補正が加わってしまう構造的な問題があると考えられる。現在、この投稿には300件以上のアップボートと150件近いコメントが寄せられており、再現性の高い問題として注目されている。
こうした報告の広がりを受け、Googleの公式アカウント「u/PixelCommunity」は問題を認識し、投稿者に連絡を取って調査を開始した。ユーザーの設定ミスではなく、仕様あるいは不具合としての認識が進められている段階であり、今後のファームウェアアップデートなどで対応が取られる可能性がある。
AppleのDeep Fusionと類似する演算処理の弊害 Pixelも“自動補正地獄”に陥るのか
Appleのカメラ機能「Deep Fusion」が長年指摘されてきた課題と酷似する処理傾向が、Pixel 9 Proの写真処理に現れている。Deep Fusionでは複数の画像を統合することで質感やディテールを強調するが、その過程で色味の不正確さや不自然なシャープネスが生まれることがある。今回のPixel 9 Proの問題でも、ファインダーで見えた正しい色が最終的な画像で変化してしまう点は、画像の自動最適化処理が似た副作用を生んでいると見られる。
Googleが同様の画像演算処理を導入した背景には、AIや計算写真技術による品質向上があると考えられるが、その結果として色再現の信頼性が犠牲になるのであれば本末転倒である。特に風景や物体の色を重視するユーザーにとって、思い通りの色で写真が残らないというのは重大な欠点となる。さらに重要なのは、こうした自動処理をオフにできる選択肢がユーザーに提供されていない点であり、「補正される前の画像を使いたい」というニーズに応えられていないという根本的な問題がある。
過去にはAppleユーザーも同様の不満を抱えており、今回のPixelの件はその二の舞になりかねない。ただし、Googleが比較的早期に問題調査を表明したことで、Appleと異なりユーザーの声に反応する姿勢は見せている。今後、ユーザーが補正の有無を選べる柔軟な設定が導入されるかどうかが焦点となる。
画像処理の自由度を求める声が拡大 現状の回避策とその限界
今回の問題で最も多くの批判を集めているのが、「自動処理を無効化できない」という仕様である。多くのユーザーは、ファインダーで確認した状態のままの画像を保存したいと考えているにもかかわらず、Pixel 9 Proでは必ずGoogle独自の演算処理が加わる。そのため、RAW撮影以外の通常モードでは、補正前の色や明るさで写真を残す方法が事実上存在しない。
一部のユーザーは、Googleフォトの「Top Shot」機能を使って別フレームを保存することで色の変化を回避できたと報告しているが、この方法は一貫性に欠け、すべての撮影シーンに適用できるものではない。さらに、後処理による色味の変更が予測不可能であるため、意図的な構図や演出を求める撮影には大きな不安要素となる。
現時点では、Googleがこの機能をバグと認識しているか、意図された仕様と判断しているかは明確でない。ただし、公式アカウントが調査に乗り出したことで、将来的に設定の自由度が増すアップデートが提供される可能性はある。撮影体験の一貫性と、個々のユーザーの意図を尊重する仕組みが求められている。
Source:Android Police