Microsoftは、Windows向けの新OutlookおよびWeb版Outlookに関するポリシー変更の適用時期を再び延期し、ロールアウトの開始は2025年6月下旬、完了は7月中旬になる見通しと発表した。対象は「OneWinNativeOutlookEnabled」ポリシーで、旧来の「OWAEnabled」は参照されなくなる。

この仕様変更は当初2025年1月から2月にかけて展開される予定だったが、未実施の統合管理機能や2024年11月発表の方針転換の影響もあり、スケジュールが後倒しとなった。さらに、Windows 10上のMicrosoft 365アプリのサポートが2028年まで延長されたことも含め、企業側の対応時期にも調整が求められる状況となっている。

Outlookの有効化ポリシー再編により旧パラメータは非推奨へ移行

Microsoftは2024年11月に、Windows版およびWeb版Outlookの動作を制御するポリシー仕様を見直す方針を打ち出し、従来用いられていた「OWAEnabled」パラメータの廃止を通知している。今後は「OneWinNativeOutlookEnabled」が唯一の基準として採用され、メールボックスへのアクセス可否はこの設定によって判定される。この移行により、Outlookの有効化/無効化を管理する仕組みが一本化されるため、組織内での設定統一や混乱の回避が期待される。

実施時期は当初2025年1月から2月を予定していたが、予定通りには進まず、2025年6月下旬から7月中旬にかけての新たなスケジュールがMicrosoft 365管理センターで明示された。企業や教育機関などの大規模環境では、グループポリシーやIntuneなどの展開手法に影響が出るため、切り替え準備には時間を要する。既存のポリシー設計に依存する運用体制を見直す必要があるという点で、この変更は構成管理者にとって実務上の転換点となる可能性がある。

管理機能の統合保留とスケジュール遅延が浮き彫りにする調整の難しさ

Microsoftは、TeamsやOutlookなどMicrosoft 365アプリの管理を統合する大規模な変更を予告していたが、記事によればこれらの機能は依然として「保留中」とされている。2024年7月に予定されていた一般提供(GA)は見送られ、ポリシーパラメータの再編と同様、全体的なシステム展開の遅延が続いている。今回のOutlookポリシー変更延期は、その一環として位置づけられる。

このような計画変更は、単なる技術的な問題にとどまらず、各組織におけるM365運用基盤への影響も大きい。特に、複数のポリシーが重複・並行して適用されていた環境では、設定整合性を保つ作業が複雑化しやすい。Microsoftとしても、一貫した方針転換を行いながらも、実装に伴う課題や管理者側の負担を考慮して段階的な移行を選ばざるを得ない構図が読み取れる。

Windows 10でのM365延長サポートが意味するもの

Microsoftは、Windows 10上で動作するMicrosoft 365アプリのサポートを当初の想定より延長し、2028年まで継続することを発表した。この決定は、旧バージョンのWindowsを使用するユーザー層の規模や移行準備の進捗状況を考慮した結果と見られる。サポート終了の明確な期限が後ろ倒しとなったことで、IT資産を抱える多くの現場にとっては安心材料となる。

ただし、この延長措置が逆に、新機能展開や管理機能の統合を遅らせる一因ともなっている可能性がある。Windows 11への移行を前提とした最適化が進む一方で、Windows 10に残る利用者への配慮が必要となり、製品ポリシーの整合性が揺らいでいるとも言える。延命的な措置が一時的な救済にはなるものの、今後の全体戦略において新旧バージョンの共存が技術的負担として残り続ける構図が見えてくる。

Source:Neowin