AMDの新型GPU「Radeon RX 9060 XT」に関する情報が複数の販売サイトで明らかになった。XFX Swift製モデルは最大3,320MHzの高クロックを特徴とし、8GBと16GBの2バージョンが存在する。Amazonではそれぞれ449ドルと519ドルで一時掲載され、スイスでは508~556CHFの価格帯も確認された。これらはNvidia RTX 5060 Tiに近い設定で、性能と価格の両面で直接競合する可能性がある。

RX 9060 XTはNavi 44ベースで、32CU、120ビットバス構成、20Gbps GDDR6メモリを採用すると見られており、発表は5月18日のComputexが有力とされている。

XFX Swiftが示すRX 9060 XTの仕様とクロックの注目点

新たにAmazonに掲載されたXFX Swift製Radeon RX 9060 XTは、3,320MHzという極めて高いブーストクロックが特徴であり、過去のリークで指摘された3GHz超という水準と一致している。掲載はすでに削除されたが、8GBモデルが449ドル、16GBモデルが519ドルという価格で表示されていた。これに加え、デュアルファン構成が確認されており、冷却性能とのバランスも意識された設計と見られる。また、搭載されると予想されるNavi 44 GPUは、32基のコンピュートユニットを持ち、20GbpsのGDDR6 VRAMを120ビットバスで接続する構成となる。

これらの仕様は、一般的なミドルレンジGPUよりも高性能志向であることを示しており、クロック周波数の高さが特に目を引く。一方で、この性能を活かすには少なくとも500Wクラスの電源ユニットが求められる可能性も示唆されており、システム全体の構成にも影響を及ぼすことが予想される。価格と性能の両立という点では魅力的だが、消費電力や熱設計にも留意が必要となりそうだ。

市場価格と競合比較から読み取れるAMDの立ち位置

Amazonやスイスの小売サイトに一時的に掲載されたRX 9060 XTは、8GBモデルが508スイスフラン、16GBモデルが556スイスフランとされ、上位モデルであるRX 9070より約25%安価に設定されていた。一方で、NvidiaのRTX 5060 Tiは8GB版が380ドル、16GB版が430ドルのMSRPを持ち、実売価格は420ドルと480ドル前後に落ち着いている。XFX Swift製品の価格がこの範囲をやや上回っていることから、今回の価格設定は暫定的であり、正式なMSRPとは異なる可能性が高い。

こうした価格動向は、現在のGPU市場におけるインフレ傾向や調達コストの上昇を反映していると考えられる。AMDがRX 9060 XTで狙うポジションは、RTX 5060 Tiに匹敵する性能を維持しつつ、多少の価格差を許容できるユーザー層と推測される。性能とコストの最適点を模索する中で、メモリ容量の差異を含めた細やかなモデル分けが鍵になるだろう。正式発表を控える今、価格政策の最終形に注目が集まる。

Computex 2025が描くGPU新時代の開幕予告

複数の報道によれば、AMDは5月18日に開催されるComputex 2025の開幕でRX 9060 XTを正式に発表する見通しであり、その翌日にはNvidiaがRTX 5060を発表するとの情報もある。さらに、IntelもArc B770を同イベントで初公開する可能性があり、GPU市場における主要3社が同時期に新製品をぶつける異例の展開となる。特にIntelのB770は、これまでのエントリーレベル製品であるB580を超える性能が期待されており、RTX 4070 Ti SuperやRTX 4080との競合も示唆されている。

このような状況は、ユーザーにとっては選択肢の拡大を意味する一方で、価格や性能比較に対する判断が難しくなることも予想される。RX 9060 XTが果たす役割は、ただのミドルレンジGPUにとどまらず、価格帯別の性能バランスを再定義する存在となりうる。Computexでの正式発表後には、スペックやベンチマーク結果が出揃うと見られ、競争環境が一気に加速するだろう。

Source:TechSpot