Microsoftは、Windows 11のBeta版Insider向けに配信されたKB5058496アップデートにより、設定アプリにAIエージェントを導入した。これは「音声での操作」や「画面表示の調整」など、ユーザーの要望を自然言語で受け取り、適切な操作手順を提示・実行する新機能である。Snapdragon搭載のCopilot+ PCを皮切りに、今後AMDおよびIntel搭載モデルへの拡大が予定されている。

また、Windowsキーとクリック操作でテキストを加工できる「Click to Do」も進化し、要約や文体変換などのAI支援が可能となった。表示言語が英語に設定されていることが利用条件となるが、これらは組み込み型の軽量言語モデル「Phi Silica」によってローカルで処理され、即時反映される仕組みとなっている。

その他にも、スタートメニューやファイルエクスプローラーの安定性改善、タスクバーや音声アクセスの不具合修正、設定アプリのFAQ拡充など、多数の機能強化と修正が段階的に展開されている。

設定アプリにAIエージェントが導入 自然言語による操作支援が現実に

Windows 11の最新ビルド26120.3964(KB5058496)では、設定アプリ内にAIエージェントが新たに組み込まれた。ユーザーが「音声でPCを操作するには?」や「マウスポインターを大きくしたい」などと入力すると、システムが意図を解釈し、具体的な操作手順を提示する。

この機能は、Snapdragon搭載のCopilot+ PCを先行対象とし、今後AMDやIntel搭載モデルにも拡大が見込まれている。エージェントは端末内のAI処理に基づき、ユーザーの許可を得て自動的に設定変更を実行するという。

このエージェント機能は、従来の検索バーによる単語一致型の支援とは一線を画す。質問の背景にある意図を理解し、適切な操作に導く対話型の支援は、特にITリテラシーが高くないユーザーにとって大きな利便性となる可能性がある。一方で、英語設定環境下でのみ動作するという制限があるため、多言語展開に向けた改良が今後の焦点となる。MicrosoftがこのようなAI支援機能をシステムの深部に組み込む姿勢は、今後のOS設計思想に大きな転換をもたらす布石とも捉えられる。

Click to Do機能がCopilot+ PCに最適化 AIによる文書操作が新段階へ

KB5058496では、Copilot+ PC向けに「Click to Do」の機能が大幅に強化された。ユーザーがテキストをドラッグして選択すると、「要約」「箇条書きの作成」「文体の書き換え」などのオプションが即座に提示される。この機能はWindowsキーとマウス操作、またはWindows + Qにより起動し、文章を瞬時に編集可能とする。編集スタイルはカジュアル、フォーマル、洗練の三種から選択でき、結果は画面上に即表示されるため、作業効率の向上が期待されている。

このインターフェースは、従来の編集支援ツールとは異なり、Windowsに内蔵された軽量言語モデル「Phi Silica」を用いてローカル処理される点に特徴がある。クラウド接続を伴わない構造は、応答性の速さとセキュリティ面での優位性を併せ持つ。

ただし、使用には英語が既定言語であること、10語以上の選択、Microsoftアカウントでのログインという条件が設けられており、一般ユーザーへの普及にはいくつかの障壁が残る。とはいえ、OSレベルで文書処理の高度化を図るこの方針は、将来的なオフィス業務の在り方にも影響を及ぼす可能性を含んでいる。

Source: Neowin