Microsoftは、Safe Exam Browserの旧バージョンとの互換性問題により一部ユーザーに課していたWindows 11バージョン24H2へのアップグレード制限を解除した。問題は2023年9月に導入された制限措置によるもので、SEBバージョン3.7以前が対象となっていたが、最新版3.8での修正が完了したことで制限が撤廃された。

同社は、SEBを利用する教育機関や企業に対し、最新版への更新後48時間経過しても制限が解除されない場合にはサポート窓口への連絡を推奨している。また、24H2は全互換PC向けに段階展開中である一方、一部の非互換アプリやハードウェアに起因するブロックは引き続き有効である。

アップグレードブロックの緩和はSEBのほか、ASUS端末やAutoCAD、ゲームアプリなどにも及んでおり、企業環境におけるWindows導入計画への影響軽減が期待される。

Safe Exam Browserの互換性問題解消によりWindows 11 24H2の制限が撤廃

Microsoftは、Safe Exam Browser(SEB)との非互換性を理由にWindows 11バージョン24H2の配信を一時的に制限していたが、バージョン3.8以降の修正完了によりこの制限を解除した。もともとSEB 3.7以前ではシステムの安定動作が保証されず、2023年9月からアップグレードブロックが適用されていた。最新版に更新したユーザーについては、ブロック解除までに最大48時間の遅延があるとされ、それ以降も問題が継続する場合は開発元への問い合わせが必要とされている。

SEBは教育機関や企業の試験運営に広く利用されており、Windows 11のアップグレード制限はIT管理者の計画に影響を及ぼしていた。今回の修正によって運用上の支障は大幅に緩和されたが、Microsoftは引き続き互換性に起因する制限を段階的に解除しており、今後も同様の更新手順が求められるとみられる。ユーザー側の迅速な対応が、円滑なアップグレードの鍵を握っている。

アップグレード制限解除が示すMicrosoftの互換性戦略の変化

今回のSEBに対するアップグレード制限の解除は、Microsoftが互換性リスクへの対応姿勢を柔軟化させている兆候と受け取れる。これまでの同社は、わずかなリスクでもアップデートを遅延させる保守的なスタンスを取っていたが、SEB開発者の修正を速やかに取り込んだ点に、パートナー協調の姿勢が明確に表れている。実際、ASUS製デバイスやAutoCAD利用環境に対しても同様の制限解除が進められており、選別的・段階的な対応が定着しつつある。

このような対応は企業IT環境においても歓迎される傾向にあり、特定アプリケーションの制限による長期的な足止めを回避できる点で、展開コストの削減にもつながる。ただし、依然としてEasy Anti-Cheatや統合カメラなど、未解決の互換性ブロックが残されていることから、企業側は更新タイミングの見極めとアプリケーション環境の点検を継続する必要がある。Microsoftの互換性マネジメントの転換は、今後のWindows導入計画の再設計を促す可能性がある。

Source:BleepingComputer