NvidiaはGeForce向けの最新ドライバ「バージョン576.40 WHQL」をリリースし、『DOOM: The Dark Ages』への最適化とRTX 5000シリーズ向けDLSS 4マルチフレーム生成の正式対応を含む重要な更新を行った。対応製品購入者には同作のプレミアムエディションが無料提供されるキャンペーンも同時に開始されている。

本アップデートでは『Monster Hunter Wilds』や『Dead Space Remake』に関連する安定性と描画不具合が修正され、G-SYNC互換ディスプレイも新たに7機種追加された。加えて、一部のASUSディスプレイやLG製テレビで報告されていた表示・パフォーマンス面の問題に対する対策も施されている。

ただし、『Ghost of Tsushima』『Cyberpunk 2077』『F1 24』など複数タイトルでは依然として既知のバグが残存しており、今後の対応が注視される。対応アーキテクチャはBlackwellからMaxwellまで幅広く、GeForce RTX/GTX/TITANシリーズを網羅している。

DOOM最適化とDLSS 4対応が示す次世代GPUドライバの戦略的布石

Nvidiaが2025年5月に提供を開始した「バージョン576.40 WHQL」ドライバでは、『DOOM: The Dark Ages』に対する専用最適化が施され、DLSS 4マルチフレーム生成への対応が正式に加わった。これにより、RTX 5000シリーズのパフォーマンス向上と新作ゲームとの親和性強化が図られている。特にDLSS 4は、AI推論によって複数フレームを統合し滑らかな描画を実現する技術であり、高負荷ゲームタイトルへの適用が進めばGPUの演算効率は飛躍的に向上する。

加えて、対象となるRTX 5090、5080、5070 Tiおよび5070の購入者に対して、『DOOM: The Dark Ages プレミアムエディション』が無償で提供されるプロモーションが展開されており、Nvidiaは次世代GPUの市場投入をゲームタイトルとの連携を通じて強化している。これは単なるドライバ更新にとどまらず、ハードとソフトを横断したエコシステム形成の一環である。

この動きから見えてくるのは、Nvidiaが単体GPU性能の向上のみならず、ソフトウェア・サポート・ユーザー体験までを包括的に設計し、競合他社との差異化を狙う戦略である。DLSSの進化とゲーム最適化を通じて、高性能志向のゲーマー層だけでなく、映像制作やAIワークロードにも対応可能な汎用GPU基盤を確立する方向性が浮かび上がる。

G-SYNC対応拡大と修正群が示すハードウェア互換性と品質維持の執念

今回のドライバアップデートでは、AcerやAOC、I-O DATA、Dellの各種モニターを含む7機種が新たにG-SYNC Compatible認定を受けた。これにより、Nvidiaが進める可変リフレッシュレート(VRR)技術の裾野はさらに広がり、滑らかな映像表示を求めるゲーマーにとって魅力的な選択肢が増加している。特にディスプレイとの互換性検証と認証プロセスは、Nvidiaがユーザー体験の品質を重視している証左ともいえる。

さらに、ドライバ576.40では複数の修正が実施された。たとえば、RTX 50シリーズで発生していた『Dead Space Remake』におけるシャドウのちらつきや、ASUS製ディスプレイ使用時に黒画面で起動する不具合などが解消されている。その他、LG製テレビにおけるG-SYNC時のスタッター問題など、システム全体の表示安定性に関わる課題への対応も見られた。

一方で、いくつかの未解決バグが依然として存在し、『Ghost of Tsushima』『Cyberpunk 2077』『F1 24』といったタイトルにおいては、描画のちらつきやクラッシュの報告が残る。これにより、次回以降のドライバ更新では、さらなるバグフィックスと最適化の徹底が求められる。

Nvidiaはソフトウェア側からハードウェア性能を引き出す姿勢を貫いており、特定製品やディスプレイ環境への個別対応を積極的に進めている。この方針は、高付加価値を伴うGPU市場において、ユーザーの信頼維持と長期的ブランド戦略を支える重要な基盤といえる。

Source:Neowin