2025年第1四半期、サムスンはクアルコムと米国で「最先端製品」に関する契約を交わしたと報じられた。これにより、両社が再び協業体制を強化する動きが明らかになったが、Snapdragon 8 Elite Gen 2が対象かどうかは明言されていない。
今回の契約にはサムスンの2nm GAAプロセスが関係している可能性があり、歩留まりが30%に達したとされる試験生産の進展にも注目が集まる。TSMCが依然として主要な製造パートナーである一方、サムスンの製造技術が信頼を回復する兆しとも捉えられる。
クアルコムがサムスンと米国で契約締結 2nm GAAに製造委託の可能性浮上

Fnnewsの報告によれば、クアルコムは2025年第1四半期に、サムスンと「最先端製品」に関する契約を米国で締結したとされる。対象製品の詳細は明かされていないが、Snapdragon 8 Elite Gen 2との関連が取り沙汰されていることから、モバイルSoCの製造に関する動きと見られている。サムスンはこれまでも同シリーズのGalaxy向けチップ製造に関与してきた経緯があり、今回の契約もその延長線上にあると考えられる。一方で、Snapdragon 8 Elite Gen 2はTSMCのN3Pプロセスによって独占生産されるとの報道が以前から存在しており、サムスンが直接関与するかは依然として不透明である。
注目されるのは、サムスンが歩留まり改善に向けて開発を進めている2nm GAA(Gate-All-Around)プロセスとの関連性である。報告では、Exynos 2600の試験生産で30%の歩留まりを達成したとされ、従来の3nm GAAの失敗を踏まえれば一定の進歩といえる。この2nmプロセスの安定化を背景に、2025年後半には受注を開始する見込みが財務報告書で示されており、今回の契約がその初期段階である可能性も否定できない。
サムスンが最先端のプロセスでクアルコムの製造パートナーとして再び名乗りを上げた形となったが、実際の量産に至るには技術的信頼の確立が不可欠であり、現段階では今後の続報が待たれる状況といえる。
サムスンの半導体復権をかけた2nm GAA戦略 成否の鍵は量産体制の確立
今回のクアルコムとの契約は、サムスンが半導体事業において再び競争力を取り戻す可能性を示唆している。これまで同社は3nm GAAプロセスで歩留まりに課題を抱え、主要顧客をTSMCに奪われる状況が続いていた。特にSnapdragonシリーズの製造では、クアルコムがTSMC製プロセスに傾倒したことで、サムスンは受注競争で後塵を拝する形となっていた。
しかし今回、Exynos 2600の試験生産で歩留まり30%という数字を示したことは、プロセス技術の改善が進行していることを示す要素といえる。さらに、サムスンは財務報告書で2nmプロセスの量産準備が進んでいると明言しており、2025年後半の本格受注開始も視野に入っている。ここで重要となるのが、安定した製造体制と顧客側の信頼回復であり、これが実現できなければ契約内容が実際の製品に結びつかない可能性もある。
最先端製造における競争は歩留まりとコストの両面で厳しく、TSMCに比肩しうる品質を示さなければ商業的成功は難しい。サムスンが再びクアルコムのメイン製造パートナーとして浮上するためには、技術面の裏付けと同時に、顧客との実績を着実に積み重ねていく必要があるだろう。
Source:Wccftech