MicroStrategy(現在は「Strategy」)がビットコインを中核とした財務戦略で市場の注目を再び集めている。過去5年で株価は約10ドルから420ドルへと急騰し、H.C. Wainwrightは目標株価を480ドルに設定した。現在の保有ビットコインは約500億ドルに達し、企業価値の多くが仮想通貨の価格動向に左右される構造である。
一方で、巨額の負債とレバレッジ構造は、ビットコイン下落時に深刻な逆風となるリスクを孕む。複数のアナリストは強気を維持しているものの、目標株価の妥当性やマクロ経済環境の不透明さに懸念も見られる。
MicroStrategy株の急騰とビットコイン連動戦略の構造的背景

MicroStrategy(現・Strategy)は近年、ソフトウェア企業からビットコイン資産戦略企業へと大胆に転換した。その結果、株価は過去5年間で約3,200%上昇し、1株あたり10ドル前後から現在は420ドルに到達した。特筆すべきは、同社が250億ドル超の資金を市場から調達し、それを元手に約500億ドル相当のビットコインを保有している点である。この構造により、企業価値は事業収益よりも暗号資産の価格変動に強く依存する状態となった。
H.C. WainwrightはStrategy株の目標株価を480ドルに設定し、ウォール街でも強気の見方が目立つ。しかしながら、ビットコイン価格の変動はボラティリティが極めて高く、同社のバランスシートはドル建て負債とビットコイン建て資産という不安定な構成である。このレバレッジ型の運営モデルは、暗号通貨価格の上昇局面では高い収益をもたらすが、反転時には大きな下落リスクを孕む。戦略としては斬新だが、安定性を求める投資家にとっては慎重な判断が求められる構造である。
セイラー体制とアナリスト評価の乖離が示す将来リスク
Strategyの共同創業者マイケル・セイラー氏は、ビットコインに対する絶対的な信念を掲げ、継続的な買い増しを実施している。その結果、個人投資家を中心に支持を集めてきたが、その信念主導の経営判断は、価格下落時のリスクを過大にする可能性が指摘されている。アナリストの一部はこの姿勢に懐疑的であり、例えば記事ではコンセンサス目標株価524.17ドルを「楽観的すぎる」とする声も紹介されている。
また、アナリスト評価平均は過去3ヶ月で5点満点中4.91から4.62にやや低下しており、これはマクロ環境や資産構造への不安の表れと読める。今後、セイラー氏の姿勢が変わらず、ビットコイン価格が50%を超えて下落するような事態が生じた場合、Strategyの企業価値そのものが崩壊するリスクも否定できない。信頼の根幹が資産価格の上昇前提で成り立っている以上、持続可能性に対する評価は分かれざるを得ない。アナリスト評価の微妙な変化は、その不確実性を映していると言える。
Source:Barchart.com