データ分析を手がけるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が、時価総額2,810億ドルで米国テック企業の第10位に浮上し、Salesforceを上回った。株価は過去1年で5倍に達し、2025年だけでも70%以上の上昇を記録。背景には、AI活用による米軍との大型契約や米国商業・政府部門における急速な成長がある。

直近四半期では売上8億8,400万ドル、営業利益率44%、フリーキャッシュフロー42%と財務面も盤石。特に商業契約額の前年比183%増が将来収益への期待を高めている。顧客数や高額契約の件数も拡大する中、株価には割高感が指摘されつつも、年間38%のEPS成長見込みと高水準の成長余地が並行して存在する。

AI契約と米国事業の急拡大がパランティアの飛躍を牽引

パランティア・テクノロジーズは2025年の第1四半期において、米国市場を中心に著しい成長を記録した。売上高は前年同期比39%増の8億8,400万ドルに達し、米国商業部門は71%増の2億5,500万ドル、米国政府部門も45%増の3億7,300万ドルと軒並み好調である。

特筆すべきは、米陸軍とのAI関連契約「TITAN」やNATOでの運用が進む「Maven Smart System」など、軍事・政府分野における高性能AIソリューションが大規模に採用されている点である。

また、商業分野でも採用が広がっており、米国における商業顧客数は前年比65%増の432社に拡大。契約額では1,000万ドル超の契約が31件、500万ドル超が51件、100万ドル以上が139件と、高額案件が複数進行中である。さらに、米国商業契約の総額は前年比183%増の8億1,000万ドルに達しており、企業側の支出意欲の高さを示している。

このような堅調な成長は、同社がAI分野で培ってきた技術優位性と、防衛・商業の両面での導入実績の蓄積によるものと考えられる。とりわけ、国家安全保障や基幹産業を支える領域においてパランティアのAI基盤が広がりつつあることは、同社の中長期的な収益の安定化につながる可能性を示唆している。

高バリュエーションと将来収益性への評価が投資判断を分ける

パランティアの株価は2025年に入り70.7%上昇し、時価総額は2,810億ドルに達してSalesforceを抜き、米国のテック企業トップ10に名を連ねた。株価上昇の一因は、同社の堅実な業績成長と財務の安定性にある。調整後営業利益は3億9,100万ドル(利益率44%)、フリーキャッシュフローは3億7,000万ドル(利益率42%)と、いずれも高水準を維持。売上成長率と営業利益率の合計である「Rule of 40」は83%となり、SaaS企業として非常に優良な水準に位置している。

一方で、PLTR株は過去収益の520倍、売上高の90倍という極めて高いバリュエーションで取引されており、この点が投資家の評価を分ける大きな要因となっている。アナリストのコンセンサスは「中立(Hold)」で、カバレッジする20人のうち買い推奨は限定的である。平均目標株価は現在より約30%低い91.11ドルと見積もられており、短期的な割高感は否定できない。

ただし、2024年の1株当たり調整後利益(EPS)0.41ドルが2029年には2.04ドルに拡大するとされ、年平均成長率は約38%に達する見込みである。利益成長の見通しが明確であることに加え、同社が現金54億ドルを保有し、負債ゼロという健全な財務構造を有している点も評価の根拠となり得る。ただし、現水準での新規投資には、成長期待と評価水準のバランスに慎重な見極めが求められる。

Source:Barchart.com