Nvidia株に対し、5月16日満期の126ドルプットオプションが4万件超取引されるなど、決算発表を目前に異例のオプション売買が確認された。特にATMおよびOTM水準での大量注文は、大口機関による戦略的ポジションとみられ、ショート・プットによる高利回り確保が背景にあるとの見方がある。
NVDA株は4月の安値から大きく反発しつつも高値には届かず、投資家心理は強気と慎重さが交錯する。今後はデータセンター事業の伸長や中国リスク、さらにはFCF動向が注目され、アナリスト予想では最大22%の株価上昇余地が示唆されているが、評価の妥当性は経営陣のガイダンス次第で揺らぎ得る。
異常なプットオプション取引に見られる戦略的意図と市場の反応

5月16日満期のNvidiaプットオプションが43,200件以上取引されるなど、決算を控えた局面で異常な規模のオプション売買が確認された。特に、126ドルの権利行使価格で成立したこれらの取引は、未決済建玉比184倍に達し、大口機関による戦略的ポジション構築を示唆するものである。
プレミアム中央値は0.81ドルであり、3日間で年率換算33.4%という高い利回りが見込まれた。この取引形態は、現株価からの下落余地を織り込んだうえで、株価が一定水準を下回らなければ利益を確保する構造である。
一方で、このような短期満期の大量プットには、単なる利回り確保では説明しきれない複雑性が見られる。ヘッジ戦略や、複数の建玉を組み合わせたデルタ中立型のポジションが含まれている可能性もあり、オプション市場特有の高度な取引戦術が介在していることは否めない。
株価が126ドルに接近しつつあるなか、こうしたポジションは、ボラティリティの収益化と同時に、Nvidiaの株価への一定の下支え要因となる構造を含んでいる。結果として、この一連のオプション活動は、株価の短期的変動性と市場参加者のリスク選好を測る指標として注目される状況にある。
売上とFCFマージンから読み解くNvidiaの理論価値と市場評価
第1四半期の売上高予想は430.5億ドルとされ、前四半期の393.3億ドルを上回る見通しが示されている。ガイダンスは430億ドル±2%(421.4億~438.6億ドル)であり、AI需要を背景としたデータセンター部門の堅調な成長が支えている。
ただし、中国との貿易摩擦の影響が続く中、成長率の鈍化リスクが懸念材料となっている。さらに、フリーキャッシュフロー(FCF)は前四半期比で減少し、155億ドルとなった。設備投資が32%増加したことが要因であり、収益成長とのバランスに注目が集まる。
その一方で、FCFマージンは依然39.5%と高水準を維持しており、事業の利益体質は極めて良好と評価できる。仮に今後もこの水準を維持できれば、年間FCFは782億ドルに達し、FCF利回り1.8%で割り戻した企業価値は約4.34兆ドルとなる。これは現在の時価総額3.19兆ドルを大きく上回る水準であり、理論株価としては159.20ドルに達する計算となる。
アナリストの平均目標株価が163ドル前後に集中していることも、この評価水準と整合している。ただし、この前提にはマージン維持と売上成長の持続が不可欠であり、決算における経営陣の説明が市場の期待水準を満たすか否かが鍵を握る構図となる。
Source:Barchart.com