Coinbase Global(NASDAQ: COIN)は、5月19日付でS&P 500指数に新たに組み入れられることが発表され、同社株は火曜日に一時20%超の急騰を記録した。代替されるのはDiscover Financial Servicesであり、今回の変更は暗号資産業界にとっても象徴的な転換点となる。直前には第1四半期決算で前年同期比24%増の20.3億ドルを計上したが、予想は下回った。
S&P 500入りによって年金やETFなど機関投資家の買いが今後加速するとされ、株価には強い上昇圧力がかかる見通しである。オッペンハイマーのアナリストは目標株価を293ドルに引き上げ、指数採用が投資家層の拡大と長期的な成長に資する可能性を指摘した。ただし、市場評価の変化が実際の業績改善と連動するかどうかには引き続き注視が必要である。
S&P500組み入れによる機関投資家の動向と株価インパクト

Coinbaseが5月19日付でS&P 500指数に新規採用されることで、同社株には短期的な買い圧力が生じている。これはS&P 500に連動する上場投資信託(ETF)や年金ファンドなどが組み入れ比率に応じて自動的に購入する構造があるためであり、火曜日には株価が前日比20%超上昇し、年初来安値から75%を超える上昇幅を記録した。指数採用の代替銘柄となるのはDiscover Financial Servicesで、入れ替えによって暗号資産関連企業が従来型金融の一角を押し出す形となる。
また、Coinbaseは第1四半期決算で売上高20.3億ドルを計上し前年比24%の増収となったが、市場予想の21.2億ドルには届かなかった。それでも、S&P 500採用の決定が発表されたことで、ファンダメンタルズとは異なる需給要因が株価上昇を後押しした形である。構成銘柄としての要件を満たしたことで、今後はボラティリティが落ち着く可能性もあるが、投機的な動きも依然根強いことから慎重な観察が求められる。
オッペンハイマーの強気評価と中長期的な見通し
オッペンハイマーのアナリストであるオーウェン・ラウ氏は、CoinbaseがS&P 500に採用されたことを受けて、同社株に対する目標株価を293ドルに引き上げた。これは現在の株価から約20%の上昇余地があることを示し、特に機関投資家の保有比率の低さがこれまでの株価の制約要因であった点に着目している。S&P 500採用後は機関投資家による組み入れが進むと見られ、需給面での安定と継続的な上昇圧力が期待されている。
一方で、暗号資産市場全体のボラティリティが高く、規制動向やマクロ経済の影響を受けやすい構造に変わりはない。したがって、指数採用による構造的支援はあるものの、293ドルという水準が業績面で正当化されるには今後の成長戦略と収益安定化が不可欠である。短期的な上昇に加えて、中長期的な投資判断には依然として事業の質的向上と規制リスクへの対応が問われる段階にある。
Source: Barchart.com