Nvidiaは、サウジアラビア政府が支援するHumain社のAIインフラ計画に向け、Grace Blackwell GB300 GPUを1万8000基供給する。初期フェーズではInfiniBandネットワークと組み合わせた500メガワット規模のAI施設が稼働予定であり、Humainはこれを大規模アラビア語モデルの拠点とする構想を示している。

Grace Blackwell GB300の大量供給がもたらすインフラ整備の転機

Nvidiaが供給する1万8000基のGrace Blackwell GB300 GPUは、サウジアラビアのAIインフラ構築における中核を担うことになる。InfiniBandネットワークとの組み合わせにより、計画初期の500メガワットAI施設が稼働可能となる構成が組まれ、政府系スタートアップHumainを通じて進行する本プロジェクトは、総額100億ドルという巨額投資が注がれる国家戦略の一環である。Humainは新たに構築される施設を拠点に、アラビア語圏向けの大規模言語モデルの開発・実装を目指しており、特定言語圏のAI展開という意味でも注目される。

こうした動きは、単なるハードウェア供給に留まらず、地域の生成AI基盤全体を底上げする意義を持つ。米政府が一時的に輸出規制を棚上げした背景もあり、ハードウェア技術の移転が加速する局面にあるが、AI技術の拡散による国際的緊張の芽も孕む点には注意が必要である。技術面では、クラウド事業者が主導してきたAI計算環境の分散化を進める一歩とも受け取れ、独立的な地域AIハブ構築の流れが今後広がるかどうかが注目される。

サウジのAI拠点化と米国大手との利害一致

Humainを中心に進められる本プロジェクトには、NvidiaやAMDといった米国主要半導体企業が深く関与している。今回の供給契約によって、Nvidiaの株価は最大6.4%上昇、AMDも4.5%上昇するなど、金融市場も明確に反応を示しており、AIインフラ需要が株式価値に直結するトレンドが再確認されたかたちだ。さらに、サウジアラビア国内におけるデータローカライゼーション規制の存在により、Amazon、Google、Oracleなどの米クラウド大手も、現地に数十億ドル規模のデータセンターを展開している。

国家主導のAI拠点構築と、それに便乗するかたちで動く米企業の構図は、地政学的な摩擦がある一方で、技術利得の一致がもたらす協調関係の現れとも言える。AIによる競争優位が国家戦略と密接に結びつく現在、技術供給側である米国と、インフラ導入側の中東諸国の関係性は今後さらに複雑化していく可能性がある。国内保存を義務づける情報管理体制の整備も、現地におけるAI導入の実効性を左右する要素となる。

Source:NotebookCheck