Intelのパートナー企業が、Arc B580 GPUを2基搭載したカスタムグラフィックスカードを開発中と報じられた。搭載VRAMは合計48GBとされ、現時点で最上位とされるNVIDIA RTX 5090を上回る容量となる。
このカードは2025年のComputexで発表される可能性があり、Intelの公式設計ではなく、非公開のボードパートナーによる独自仕様となる模様。24GB VRAMを持つGPUを2基搭載し、従来の12GBモデルを大幅に凌駕する設計が想定されている。
48GB VRAMとデュアル構成が示す非ゲーミング志向の設計意図

Videocardzの報道によれば、IntelのArc B580を2基搭載したデュアルGPUカードが、カスタム仕様で登場する可能性がある。搭載されるVRAMは合計48GBで、各GPUあたり24GBとされており、RTX 5090の32GBを超える。この構成は、ゲーミング向けとしては異例であり、かつて存在したSLI構成を思い起こさせる。ただし、この製品はIntelのリファレンスモデルではなく、名前の明かされていないボードパートナーによる独自設計である点も注目すべき要素である。
現在市販されているArc B580カードは12GBのVRAMに留まっていることを踏まえると、48GBという数字はゲームプレイよりもAI用途や大規模データ処理を意識した設計と考えるのが自然だ。特に近年はローカルLLMの利用が進んでおり、グラフィックスカードに対して求められるVRAM容量は急速に増している。このようなカードは、処理性能よりも大容量メモリによるモデル保持性能を重視した環境でこそ真価を発揮すると言えるだろう。
また、マルチGPU構成にはドライバやアプリケーションレベルの最適化が必須であり、一般的なゲーミング環境では恩恵を得にくい。そうした制約を理解した上でこのような仕様が実装されている点からも、今回のカードがパフォーマンス重視の愛好層に向けたものではなく、あくまで演算用途に向けた尖った提案であることがうかがえる。
発表の舞台はComputexか 注目集める異端のハードウェア
報道では、デュアルArc B580カードが2025年のComputexで初披露される可能性があるとされている。登場すれば、近年では見られなくなったマルチGPUカードとして会場の注目を集めることは確実だ。Intel製グラフィックスカードとしては初の構成となるため、展示された場合にはその存在感は極めて大きい。なお、製造元のコメントはNDAを理由に得られていないが、「コメントできない」との回答は、製品の存在自体を裏付けるものとも読み取れる。
今回のモデルはIntelの標準的な製品ラインとは明確に異なる方向性を持つ。過去にNVIDIAやAMDが試みたマルチGPU構成の商業的失敗を考慮すれば、このタイミングでの復活は極めて異例である。にもかかわらず登場が予告されている背景には、AI市場の急拡大と、既存ラインナップでは満たせないニッチな性能要件への対応があると見られる。
Computexという舞台は、ハイエンド技術やプロトタイプ的な製品が注目を集めやすい場である。今回のカードもその文脈に沿った「技術アピール」としての役割を果たす可能性がある。実際の製品化や流通が行われるかは未知数であるが、少なくともその存在が示すのは、IntelがGPU領域でも多様な実験を進めているという事実である。
Source:PCGamesN