Intelは、Computex 2025にて新たなBattlemage GPUを含むArc ProおよびAI GPUの発表を示唆し、ゲーミング市場への本格参入を再び強調している。Xでの公式発言やVideoCardzの報道によれば、昨年のArc B570・B580の後継となる上位GPUが登場する可能性があり、VRAMが24GBに倍増したモデルも検討されている。これが「Arc B770」として投入されれば、同社GPU史上で最も高性能な製品となる見通しであり、NvidiaやAMDに対抗する戦略的な一手となり得る。
Intelが示唆したBattlemageの上位展開と24GBモデルの登場可能性

IntelはX(旧Twitter)上での予告を通じて、Computex 2025における新たなGPU群の発表を暗に示した。注目を集めているのは、昨年末に登場したArc B570およびB580の後継機と見られる製品群であり、特に24GB VRAMを搭載したハイエンドGPUの存在が指摘されている。
VideoCardzの報道によれば、このモデルは「Arc B770」として計画されている可能性があり、これは従来のゲーミング向けArcシリーズを大きく上回る仕様となる。Intelはこれまで、1080pから1440pの中解像度に最適化した中価格帯GPUを主軸に展開してきたが、今回の製品はより高性能かつプロフェッショナル用途にも対応し得るスペックが期待されている。
一方で、このB770が実際に登場するか、あるいはVRAM拡張型のB580のみが発表されるかは現時点で不確定である。特に24GBというメモリ容量は、同価格帯に位置するNvidiaのRTX 4070やAMDのRX 7800 XTなどと比しても際立った仕様であり、GPU市場における価格性能比の競争軸を変化させる可能性を孕んでいる。Intelが正式発表に至るまでにはなお不透明な要素が残るが、仕様面における飛躍の意図は明確であり、性能帯の拡張によって既存のArcブランドを新たな段階へと引き上げる狙いが垣間見える。
NvidiaとAMDへの対抗軸としての戦略的位置づけ
今回の新型Battlemage GPUの示唆は、IntelにとってGPU市場における再挑戦の象徴でもある。従来のArc B570およびB580は、一定のゲーミング性能と価格競争力を示したものの、NvidiaおよびAMDの主力製品群と比較すると依然として性能面での差が存在していた。特に、ハイエンド帯では選択肢が限られており、Intelの立ち位置は市場全体において周縁的であった。これに対し、今回のB770とされるモデルは明確にその上位カテゴリを狙ったものであり、24GBのVRAMはワークステーション用途への応用も視野に入れた設計と受け取れる。
また、現在のGPU市場においては、性能と価格のバランスを求めるユーザー層が拡大しており、手頃な価格で高性能な製品を投入できれば、Intelはシェア拡大の糸口を掴む可能性がある。特に、NvidiaのRTX 5070 TiやAMDのRX 9070などといった次世代ミドルハイモデルとの競争を意識した設計であれば、消費者にとっても選択肢が広がることになる。
Intelにとっては、従来のCPU依存の収益構造からの多角化という意味でも、この新GPU戦略は極めて重要であり、今回の発表がその転換点となる可能性がある。製品の完成度と価格設定の巧拙が、今後の市場評価を大きく左右するだろう。
Source:TechRadar