Nvidiaが年末に「RTX 5080 Super」または「RTX 5080 Ti」を24GBのVRAM搭載で投入するとの情報が、中国のBaiduフォーラム経由で報じられた。これは今年発表されたBlackwell世代に新たに加わる上位モデルと見られており、既存のRTX 5080(16GB)と比べて大幅な仕様強化となる。ただし、この新GPUが中国市場で販売中止となった「RTX 5090D」の代替品である可能性も指摘されている。

一方、RTX 5090D自体はVRAM32GBや512bitバス幅などRTX 5090に準じたスペックを備えていたが、輸出規制強化により販売禁止とされ、後継品はCUDAコア数14,080、384bitバス幅、VRAM24GBへとスペックが引き下げられる見通しとなっている。Nvidiaの製品戦略は、地政学的リスクと技術性能の綱引きの中で、今後も柔軟な調整を迫られることになりそうだ。

RTX 5080 Super/Tiは24GB VRAMを搭載しBlackwell世代の中核を担う可能性

RTX 5080 SuperまたはTiとされる新GPUは、現行のRTX 5080(16GB)と比較してメモリ容量が1.5倍増の24GBとなる見通しである。これはハイエンド領域でのAI処理や大規模ゲームタイトルへの最適化を想定した構成と考えられる。

情報源となったBaiduフォーラムのリークは、Wccftechを通じて拡散されたもので、年末のリリース時期と併せて、仕様上の上位互換性も示唆している。ただし、名称が「Super」または「Ti」となるかは定かではなく、Nvidiaの製品ポジショニングに応じた調整が行われる可能性がある。

RTX 50シリーズは2024年1月にBlackwellアーキテクチャとして発表され、当初はRTX 5090、5080、5070 Ti、5070のみで構成されていた。そこにRTX 5060 Tiや5060が順次追加され、今回の新GPUはこのラインを強化する役割を担うと見られる。

メモリ容量の拡張は単なる上位モデルの投入ではなく、AI推論用途などより高度な処理に対応した戦略的展開と解釈できる。Nvidiaは競合AMDの高性能モデルやデータセンター向けソリューションとの差別化を進める中、Blackwell世代の広がりを通じて市場の主導権を維持しようとしていると考えられる。

RTX 5090Dは販売停止により性能大幅縮小 後継モデルの妥協点が鮮明に

RTX 5090DはRTX 5090と同等のハードウェア構成を持ちながら、AI推論性能に制限を加えた専用モデルであり、中国市場向けに投入された製品であった。しかし、米国の対中輸出規制の影響を受け、中国国内での販売が中止されたとされる。

この規制強化により、Nvidiaは同製品の代替として、CUDAコア数を21,760から14,080へと削減し、メモリバスも512ビットから384ビットに縮小、VRAM容量も32GBから24GBへ引き下げる新型モデルの投入を余儀なくされている。これらの変更はパフォーマンスの面で実質的なダウングレードとなる。

当該代替モデルは、RTX 5090Dの機能制限版としての性格を保ちつつも、輸出規制を回避するためのスペック調整という性格が濃厚である。特にAI処理性能をめぐる制限が重要な意味を持っており、Nvidiaの中国市場に対する対応が、今後も地政学的要因により翻弄されることは避けられない。

製品仕様が国際的な政治状況によって変更を強いられるという構図は、今後のハイエンドGPU市場全体にも影響を及ぼす懸念がある。Nvidiaにとっては、グローバル戦略と地域別規制の双方を見据えた調整力が、製品開発以上に求められる局面となっている。

Source:Notebookcheck