ARK Invest創業者キャシー・ウッドが、Shopify株を3本の主力ETFで相次いで買い増し、Nasdaq-100への採用と決算好調を背景に注目が集まっている。2025年第1四半期決算では売上が前年同期比26.8%増の24億ドル、EPSも市場予想を上回る結果となった。さらにGMVやキャッシュフローの成長、欧州市場での躍進も評価されている。ウッド氏はARKFで同銘柄を最大構成比率の9.67%とし、中長期視点での強い信念を示した。
Shopify株は過去1年で90%超の上昇を記録し、5月12日には13.7%の急騰を演じた。投資家心理を押し上げたのは米中摩擦の一時緩和と関税猶予措置、そしてインデックス採用による需給の変化である。今後はB2B市場やオフライン領域への進出が新たな成長ドライバーとなる可能性もあるが、中国依存の供給構造には依然リスクが残る。
キャシー・ウッドの積極投資が示すARKの戦略的確信と構成比率の重み

キャシー・ウッド率いるARK InvestがShopify株を3つの主力ETFにおいて集中的に買い増した動きは、機関投資家としての強い信念を反映するものである。2025年5月8日と9日に実行されたこの投資判断により、ARK Fintech Innovation ETF(ARKF)ではShopifyが構成比率9.67%で第1位、ARK Innovation ETF(ARKK)では4.94%で第8位、ARK Next Generation Internet ETF(ARKW)では4.67%で同じく第8位となった。これは、同社の収益成長力と市場での地位向上がARKの投資テーマと合致したことを示している。
ARKFにおける最大構成比率という事実は、Shopifyの決算や事業基盤がFintech分野における中核銘柄として見なされていることの証左である。また、複数ETFに跨る買い増しは、ポートフォリオ全体でShopifyに対する戦略的リスクテイクを行っていることを意味する。特定銘柄の偏重はリスクともなるが、ARKはこの集中配分を経済合理性に基づくものと位置づけている可能性が高い。
投資対象としてのShopifyは、キャッシュフロー創出力、グローバル展開、GMV成長といったファンダメンタルズが支えとなっている。ETF構成上位の銘柄は指数連動以上に注目されるため、ARKの動きは他の運用機関や個人投資家にも影響を与える可能性がある。ただし、こうした集中投資は株価変動リスクを高めるため、短期的な調整にも慎重な対応が求められる局面である。
決算好調とNasdaq-100採用が示す成長の持続性と外部環境の影響
Shopifyは2025年第1四半期決算において、売上が前年比26.8%増の24億ドル、調整後EPSが0.25ドルと、いずれも市場予想を上回る実績を示した。マーチャントソリューションズ収益は29%増、サブスクリプション収益は21%増を記録し、グロスマーチャンダイズボリューム(GMV)も前年同期比23%増の748億ドルに到達した。これにより、同社は8四半期連続で25%超の売上成長を維持している。欧州市場でのGMV36%増は、地域多様性と国際展開の成功を裏付ける指標でもある。
また、Shopifyは2025年5月19日付でMongoDBに代わりNasdaq-100指数に採用される予定であり、これが需給面でのプラス材料となった。特に5月12日の13.7%の急騰は、インデックス組み入れに伴う機関投資家のリバランス需要と、米中通商摩擦の緩和による市場心理の改善が複合的に作用した結果と見られる。こうした指数採用は短期的な価格上昇を誘発するが、中長期的には企業実力が評価されての選定である点が重要である。
ただし、供給網の一部が中国に依存していることから、「デ・ミニミス」特例撤廃などの貿易政策変更が第2四半期に与える影響には注視が必要である。プレジデントのハーレー・フィンケルスタイン氏は、こうした外部要因にも耐え得るビジネス体制が整っていると強調しているが、予測には慎重さが求められる。とはいえ、売上成長率25%前後のガイダンスが維持されている点は、経営陣の自信の表れとも受け取れる。
アナリストの評価動向と今後の株価形成への含意
2025年第1四半期決算後、複数の大手証券会社がShopify株の目標株価を調整しつつも、強気の投資判断を維持している。モルガン・スタンレーは目標株価を106ドルから112ドルに引き上げ、「Overweight(買い推奨)」を継続。JPMorganのレジナルド・スミス氏は124ドルから115ドルへ下方修正しつつも、同様に「Overweight」を維持。UBSのティモシー・キオド氏は125ドルから110ドルへ引き下げ、「中立」評価を継続している。
アナリスト45人のうち、28人が「Strong Buy」、2人が「Moderate Buy」、14人が「Hold」、1人が「Strong Sell」としており、全体として「Moderate Buy(適度な買い推奨)」のコンセンサス評価が形成されている。平均目標株価は117.37ドルで、現在株価に対し5.3%の上昇余地が見込まれている。一方、最も強気な予測では175ドルとし、57%の上昇余地を想定する向きもある。
この評価の分布は、業績の堅調さが高く評価されている一方で、外部要因やバリュエーションの水準に対する見方に温度差があることを示している。特に短期的な価格変動やインデックス採用に伴う一時的な過熱感を警戒する動きも一部に見られる。従って、Shopify株は中長期的な成長ポテンシャルを評価しつつも、外部環境の変化や政策リスクを慎重に見極める必要がある局面にある。
Source:Barchart.com