Strategy(旧MicroStrategy)の株価が5月9日に年初来高値となる430.35ドルを記録し、仮想通貨市場の回復を背景に注目が集まっている。背景には、ビットコイン価格の10万ドル超えと機関投資家の需要拡大があり、同社の保有BTCは約56万8,840枚に達している。第1四半期は減収・赤字拡大という決算ながら、サブスクリプション事業が前年同期比61.6%増と健闘し、収益の多様化も進行中である。

さらに、2025年のビットコイン利回りと利益目標を大幅に引き上げるなど、マイケル・セイラー体制の積極策が評価され、みずほ証券は目標株価を562ドルへ引き上げた。アナリスト評価も強気一色で、株価はさらなる上昇余地を残している。

ビットコイン高騰と連動するMSTR株の急伸が示す戦略的転換点

MicroStrategyから社名を改めたStrategy(ティッカー:MSTR)は、2025年5月9日に年初来高値430.35ドルを記録し、株価は年初から44%、過去1年間で220%の上昇を遂げた。この急伸の背景には、ビットコインが10万ドルを超えて堅調に推移し、イーサリアムも2021年以来の高値圏にあるという、暗号資産市場全体の追い風がある。また、トランプ前大統領の関税緩和発表や、英米の通商合意により、マクロ環境の不確実性が後退したことも市場心理の改善に寄与している。

Strategyは、約56万8,840BTCという圧倒的な保有量を武器に、事実上ビットコインETFに近い株式投資先として認識されており、機関投資家を含む幅広い層から関心を集めている。2025年第1四半期には、売上高が前年同期比3.6%減、純損失が1株当たり16.49ドルと悪化したものの、現金同等物の増加やサブスクリプション事業の前年比61.6%成長が堅調さを裏付けた。これらの点から、ビットコインの値動きと同社株価の相関性が一段と強まっている状況が浮かび上がる。

一方で、このようなビットコインとの高い連動性は、資産価格の変動リスクを直接的に内包していることを意味する。現時点では強気相場の恩恵を享受しているが、仮想通貨市場が下落に転じた際には、Strategyの財務・市場評価が急変する可能性は排除できない。したがって、短期的な値上がりだけでなく、ボラティリティの影響を冷静に見極める姿勢が求められる。

利回り目標と利益計画の上方修正が示す戦略的な自信と成長路線

Strategyは2025年のビットコイン利回り目標を当初の15%から25%へ、ビットコイン利益目標を100億ドルから150億ドルへと大幅に引き上げた。この上方修正は、年初からのビットコイン価格の回復と、4月末時点ですでに年間目標の90%に達するリターンを得ていることが主因とされる。加えて、サブスクリプション収益の拡大、資産流動性の改善、継続的なBTC取得姿勢など、戦略的要素が複合的に作用している。これらの成果を背景に、同社の2025年後半に向けた見通しは強含みである。

こうした前向きな業績見通しに呼応する形で、みずほ証券はMSTRの目標株価を562ドルへと引き上げ、「アウトパフォーム」評価を継続した。ウォール街でも強気見通しが広がっており、13人中11人のアナリストが「ストロング・バイ」、最も強気な予測では650ドルという水準が提示されている。これは現株価から56%の上昇余地を示唆するものとなる。

ただし、このような積極的な数値計画の背景には、極めて高い市場期待とビットコイン相場の安定性が前提となっている。戦略上の強気姿勢は一貫しているものの、今後のパフォーマンスがこの想定通りに推移しなかった場合、株価に対する反動も無視できない。したがって、成長期待と市場ボラティリティのバランスを見極めることが、MSTRへの投資判断において重要な視点となる。

Source:Barchart