パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、2024年に前年比39%の売上成長と161%のEPS成長を達成し、AIおよびデータ分析需要の高まりを背景に、企業および政府両セクターでの収益拡大を遂げた。特に米国商業部門の売上は前年比71%増と急伸し、連邦政府依存からの脱却を強く印象づけている。

バンク・オブ・アメリカのアナリストはPLTR株の目標価格を150ドルとし、AI活用の先導的企業として評価したが、他のアナリストの平均目標価格は91ドルにとどまり、強気一辺倒ではない。仮に150ドルに達した場合の予想PERは260倍に達し、割高感の警戒も必要とされる。

収益構造の多角化と国家安全保障領域への積極姿勢が、競合との明確な差異を生む中、今後の市場評価にはAI需要の持続性と利益成長の確実性が問われる局面が続く可能性がある。

商業部門の急拡大と政府依存からの脱却が業績成長を後押し

Palantir Technologiesは2024年第1四半期、売上高8億8,400万ドルを計上し、前年比で39%増、前四半期比でも7%の伸長を見せた。特筆すべきは米国の商業部門売上であり、前年同期比71%増の2億5,500万ドルを記録。従来依存していた政府契約に加え、企業市場への本格的な展開が数値に表れている。政府部門の売上も引き続き好調で、前年比45%増の3億7,300万ドルと、依然として安定した収益源として機能している。

こうした多角的な収益構造の進展により、Palantirは景気変動に対してより柔軟な経営基盤を構築しつつある。商業部門の急成長は、AIとデータ分析ツールへの需要が民間分野でも急速に拡大している現実を映し出しており、同社の製品が特定業界に偏ることなく幅広い用途に対応可能であることを裏付けている。

収益の分散化と高い成長率の両立は、企業としての成熟と次の段階への進化を意味する。一方で、政府契約に依存しない経営モデルの確立には、継続的な商業顧客の獲得と保持が必要となるため、競争環境の激化や新興勢力の台頭に対する警戒も求められる局面である。

株価150ドル予想の背景と評価指標の限界

Bank of Americaのマリアナ・ペレス・モラ氏は、Palantir株(PLTR)の目標価格として150ドルを提示し、AIを活用した市場拡張力に強い期待を示した。2020年の上場以来、株価は1,300%超の上昇を遂げており、2024年の調整後EPSは0.41ドルと2022年の0.06ドルから飛躍的に伸びている。この成長を支えるのは、商業部門と政府部門双方の堅調な需要であり、いずれも高マージンの継続収益を生む構造にある。

一方で、市場全体の評価は一様ではない。ウォール街のアナリスト20名中「強い買い」は3名にとどまり、平均目標価格は91ドルと現状水準を下回っている。仮に150ドルに到達した場合、予想PERは260倍に達し、過熱感やバリュエーションの持続性に疑義が呈される水準となる。AIバブルやセンチメントの偏りによって一時的な高騰は起こり得るが、ファンダメンタルズとの乖離が拡大すれば調整リスクも孕む。

PLTR株は今後も成長が期待される一方で、短期的な過大評価への警戒と中長期的な収益の質の見極めが重要である。価格目標は将来の収益に対する期待の表れに過ぎず、持続的な成長戦略の実行力が最終的な評価を決定づけることになる。

Source:Barchart