2025年に入りS&P500を上回る28%超の上昇を記録しているNetflix株は、関税リスクや景気減速への懸念が残るなかで市場の安定銘柄として脚光を浴びている。第1四半期決算では売上・利益とも市場予想を上回り、ストリーミング業界内でも圧倒的な業績を維持した。
営業利益は前年比50%増、総会員数は3億人を突破し、価格改定にも成功している点から同社の収益構造とブランド力が評価されている。一方で、目標株価は現在の水準を下回る見方もあり、短期的には明確な上昇材料に乏しいとの指摘もある。広告やスポーツ配信、ゲーム事業など新分野の成長性を加味すれば、長期的なポテンシャルには依然注目が集まる状況である。
決算好調と3億人突破が示す市場支配力の継続

Netflixは2025年第1四半期において、売上高と利益の両面で市場予想を上回る結果を発表した。この決算は、同社が初めてストリーミング会員数を非開示とする方針へ転換したにもかかわらず、強固な業績に裏付けられた自信の表れと受け止められた。営業利益は前年同期比で50%増加し、年間で4,100万人以上の新規会員を獲得。これにより総会員数は3億人を突破し、同業他社を大きく引き離す市場支配力を維持している。
また、米国内の全プランにおける料金引き上げをスムーズに実行できた点は、同社の価格決定力とブランドへの信頼感を示すものといえる。こうした結果に対し、共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏は決算説明会で、「特筆すべき問題は特に見当たらない」と述べ、外部環境の不透明さのなかでも安定経営を貫く姿勢を強調した。
一連の実績は、景気減速や関税不安といったマクロ要因をもろともせず、Netflixがエンターテインメント領域で高い耐性と成長性を両立させていることを裏付ける。競合がコスト圧力や加入者数の伸び悩みに苦しむ中、同社の事業運営は際立っており、持続的成長への道筋を確保していると言える。
プレミアム評価の正当性と短期的リスクの交錯
Netflixは現在、予想PERが約45倍と、マグニフィセント・セブン銘柄のなかでもTeslaを除いて最も高い水準にある。これはエンタメ大手のDisneyの19.1倍と比しても極めて高いバリュエーションであり、同社の将来的な収益成長への期待が市場に織り込まれていることを示している。実際、Rosenblatt Securitiesによる目標株価は1,514ドルと、5月13日時点の終値に対して33%の上昇余地を提示している。
しかしながら、アナリストのコンセンサス目標株価は1,088.27ドルと現状より低く、株価の上値余地に対する期待は限定的との見方も存在する。加えて、直近の市場ラリーにおいて他銘柄が急騰する中で、Netflix株は横ばいにとどまっており、リスクオン環境下では資金がよりボラティリティの高い銘柄に向かう可能性がある。
中長期的にみれば、同社が展開する広告、スポーツ配信、ゲームといった新規分野のTAM(総アドレス可能市場)は極めて大きく、今後の収益源として有望視される。ただし、これらの成長が本格化するまでには時間を要するため、短期的には明確な材料に乏しく、プレミアム評価の持続には慎重な視点が求められる状況といえる。
Netflix株は堅牢なビジネス基盤を背景にコアポートフォリオの一角として位置づけるに値するが、現時点で新規の買い増しにはより魅力的なエントリーポイントを見極める必要がある。
Source:Barchart.com