米投資専門メディアThe Motley Foolが選定した「ウォーレン・バフェット型」の長期保有向け銘柄として、マイクロソフト、ウーバー・テクノロジーズ、エンブリッジの3社が挙げられた。これらはバフェットの投資哲学であるシンプルさ、収益予測のしやすさ、財務の健全性といった要素を備えた企業であり、たとえバークシャー・ハサウェイの保有銘柄でなくとも、長期的視点で魅力ある存在とされる。

マイクロソフトはAIとクラウドへの注力により売上高2700億ドル・利益率36%を誇り、堅実な成長を遂げる。ウーバーは「軽資産モデル」で利益率を27%にまで高め、過去の赤字から大きく脱却した点が注目された。エンブリッジは30年連続の増配と長期契約による安定収益が評価され、エネルギー分野での分散投資先として適している。これらはいずれも、保守的かつ継続的な利益を志向する投資家の戦略に資する可能性がある。

マイクロソフトが体現するバフェット型銘柄の本質

マイクロソフトはウォーレン・バフェットの投資哲学に合致する特性を備えており、同氏がビル・ゲイツとの私的関係により保有を避けていたとされるが、もしそれがなければバークシャー・ハサウェイの主力銘柄になっていた可能性が高い。直近ではAIとクラウド分野への集中投資が成果を挙げ、過去12か月で売上高は2700億ドル、純利益は約970億ドルに達し、利益率は36%という驚異的な数値を記録している。これにより、収益の安定性と成長性を同時に備える点が投資家の信頼を集めている。

さらに、CEOサティア・ナデラは「クラウドとAIは、企業の成長促進とコスト最適化に不可欠な基盤」と明言し、今後の戦略方向も明瞭である。このように、構造的に高収益を維持しつつ、技術革新によってさらなる競争優位を確保する姿勢は、バフェットが好む「予測可能で理解可能なビジネスモデル」を体現しているといえる。

一方、今後のリスクとしては、生成AI競争の激化や規制環境の変化などが挙げられるが、それらに対する財務的耐性と技術的先行性を備えていることから、慎重な長期投資家にとって依然として魅力的な選択肢と位置づけられる。バフェット型の原則を現代テクノロジーに適用した好例である。

ウーバーのアセットライト戦略が示す次世代型価値創造モデル

ウーバー・テクノロジーズは、自社で資産を保有しない「アセットライトモデル」を武器に収益性を飛躍的に改善しており、過去には赤字体質だった企業像からの転換が鮮明である。直近の4四半期における売上は450億ドルを突破し、純利益は120億ドル超、利益率は27%にまで到達している。わずか数年前、2021年には180億ドルの売上で赤字を計上していたことを踏まえると、ビジネスモデルの有効性が明確に表れている。

特筆すべきは、同社が進める自動運転車との連携であり、Waymoとの協業によって新たな都市での展開を開始している点である。これは潜在的な脅威を逆に機会と捉える柔軟性を示しており、将来的には人的コストの削減とサービス提供地域の拡大に繋がる可能性がある。市場競争が激化する中、テクノロジーを活用して効率性を高める経営方針は、利益成長への道筋を明示している。

ただし、競合他社の台頭や各国規制への対応には慎重を要する。特にデータ管理や労働環境に関する法整備の動向は、今後の持続的成長に影響を及ぼす可能性がある。それでも、バフェットが好む収益性と拡張性の両立を実現しつつある企業として、長期保有の検討に値する存在といえるだろう。

配当と安定収益で注目されるエンブリッジの保守型戦略

カナダのパイプライン大手エンブリッジは、ウォーレン・バフェットのポートフォリオには含まれていないが、同氏がエネルギー分野に強い関心を示していることを考慮すると、極めて彼の投資思想に近い企業である。同社は19年連続で業績予想を達成しており、収益の大部分を長期契約に基づいて獲得する構造が、事業の安定性を高めている。これにより、短期的な資源価格の変動にも耐性を持つ堅牢な収益基盤を構築している。

特に注目されるのは30年連続の増配実績であり、これは配当重視の保守的な投資家にとって極めて魅力的な指標である。さらに、今後2年間で1株当たり利益を年率4〜6%成長させる見通しを提示しており、これがさらなる増配につながる可能性も示唆されている。インフラ事業特有の資本集約性はあるものの、すでに整備されたパイプライン網と規制環境下での独占的なポジションが、競合参入を困難にしている点も安定性を裏打ちする材料である。

ただし、脱炭素社会への移行が進む中で、化石燃料関連企業への投資は倫理的・規制的観点からの議論を伴う領域である。それでもなお、当面のエネルギー需要と配当重視の資産形成戦略において、エンブリッジは現実的かつ堅実な選択肢となり得る。長期的に信頼できる収入源としての地位は揺るぎない。

Source:The Motley Fool