Samsungが発表したGalaxy S25 Edgeは、薄型デザインと先進的な外観で注目を集める一方、3,900mAhという控えめなバッテリー容量が最大の弱点として指摘されている。実質的には標準モデルよりもバッテリーが小さく、Plusモデルと同等のサイズを持ちながら持続時間に課題を残す。現行の他社フラッグシップが5,000mAh超えを標準化する中、同機の持続性は価格帯に見合わないとの評価もある。

先端のシリコンカーボン技術を導入していれば容量増加が見込めたが、Samsungは充電時の熱リスクや膨張問題を警戒し、あえて従来型の安全な選択をとったとみられる。かつてのGalaxy Note 7爆発事故の記憶が、いまだに新製品開発に影を落としている可能性も否定できない。

バッテリー容量3,900mAhの選択が意味するもの

Galaxy S25 Edgeに搭載されたバッテリーは3,900mAhとされ、コンパクトモデルのGalaxy S25よりもわずかに少ない容量にとどまっている。これはサイズの大きなEdgeモデルとしては異例であり、画面サイズや本体幅が近いGalaxy S25 Plusと比較しても、明らかに電力供給能力に劣る点が際立つ。Samsung自身もこのモデルのバッテリー持続時間はGalaxy S24より優れるが、S25には及ばないことを認めており、1日単位の使用を想定した設計であることがうかがえる。加えて、A36 5Gなど5,000mAhを標準搭載する中級機種でさえも画面オン時間が5時間程度であることから、Edgeが長時間駆動に強いとは言い難い状況である。

一方で、本体の薄さや重量制限とのトレードオフを考慮した場合、Samsungがこの容量を選択した背景には、構造的な制約や冷却性能への配慮があると考えられる。特に、端末の薄型化と金属筐体の採用によって、内部スペースは限定され、過剰な発熱や膨張リスクを避ける必要があった。これらの要素を踏まえれば、単純な容量比較では語れない設計上の制限が、この選択に影響を与えていると見るのが妥当である。

シリコンカーボン電池の未採用が突きつける現実

Galaxy S25 Edgeでは、近年注目されているシリコンカーボン(Si/C)バッテリー技術は採用されていない。この技術は、同サイズで理論上10〜15%の容量向上を実現可能とされ、他社ではOnePlus 13やXiaomi 15 Ultraといった最新フラッグシップモデルがすでに導入している事例がある。仮にこの技術がS25 Edgeに搭載されていた場合、容量は4,300mAh前後となり、画面オン時間も30〜45分程度の延長が見込めた可能性がある。これは日常使用の実感において大きな差を生む要素であり、Samsungがその可能性を見送った理由に注目が集まる。

この判断の背景には、Note 7のバッテリー爆発事故以降、Samsungが慎重な設計姿勢を維持している点が影響している可能性がある。Si/C電池は充電時の膨張が避けられない特性を持ち、とくに薄型端末では筐体に与える影響が顕著になる。また、OPPOやXiaomiが充電速度を控えめに設計しているのも、この技術による制限を受けた結果であると見られる。Galaxy S25 Edgeの充電速度は25Wにとどまり、熱負荷は小さいとされるが、内部空間が極端に制限された構造では安全性が優先されたと考えるのが自然である。

Note 7の記憶が設計判断に影を落とす可能性

Galaxy S25 Edgeのバッテリー設計には、かつてのGalaxy Note 7の発火事故の影響がいまだ残っていると感じさせる側面がある。Samsungはその後、バッテリーの品質管理と安全基準を抜本的に見直し、以降の機種では安定性を重視する保守的な設計にシフトしてきた。今回のS25 Edgeもまた、超薄型デザインを採用する一方で、新素材や高密度バッテリーの導入には踏み切らず、あくまで従来技術の延長線上にとどまる構成となっている。

仮にSamsungがリスクを取って革新的な電池技術を導入していれば、S25 Edgeは単なるスタイル重視のモデルではなく、性能と美しさを両立する象徴的なデバイスとなり得た可能性がある。だが現実には、バッテリー容量と持続時間の制約がユーザー体験において弱点として浮かび上がり、S25 Edgeの評価は見た目先行の印象を拭えない。Note 7以来のトラウマが、現在の設計方針を決定づけているとすれば、今後もSamsungは冒険よりも堅実さを選ぶ傾向が続くかもしれない。今のS25 Edgeは、挑戦的なプロダクトではなく、安全圏にとどまる製品という印象を強く残している。

Source:Android Authority