マイクロソフトは2025年5月の定例更新「Patch Tuesday」において、Windows 11および10の全サポート対象バージョン向けに最新アップデートを提供した。Windows 11バージョン24H2には、Copilot+対応機種を対象にAI機能「Recall」や「Click to Do」などが搭載され、検索体験の刷新も進められる。
既存の23H2でもPhone Linkサイドバーや新たなファイルビュー機能など複数のUI改善が導入された。Windows 10では新機能の追加は見送られたが、「BYOVD」攻撃対策を含むセキュリティ修正が強化された。サポート終了が迫る中、ユーザーの移行判断も今後の焦点となる。
Copilot+対応のAI機能がもたらすWindows 11の進化

Windows 11バージョン24H2向けに配信されたKB5058411アップデートでは、「Recall」および「Click to Do」といったAI機能がCopilot+搭載PCに導入された。これによりユーザーは過去の操作履歴を簡単に呼び出すことが可能となり、作業の再開や情報の再取得が迅速に行える環境が整えられた。
加えて、AIベースの検索機能も刷新され、インテルおよびAMDプラットフォームの両方で高度なナレッジ推論が活用される仕様となっている。マイクロソフトはこれらの機能を段階的に展開するとしており、Thurrottの報道では、対応モデルにおいて順次利用可能になる見通しが示されている。
このようなAI機能の搭載は、単なる操作補助を超えたパーソナライズ体験の深化を意味するが、同時に高性能ハードウェアへの依存が明確化されつつある。Recallの実装には相応のストレージと処理能力が必要とされ、Copilot+非対応機種への展開が制限される可能性もある。こうした仕様の偏在は、今後のハードウェア選定や企業の端末更新計画において、AI対応を重視する方向性を促す契機となろう。
Windows 10はセキュリティ重視へと転換 新機能提供は終了段階に
Windows 10バージョン22H2に対して提供されたKB5058379パッチでは、ユーザー向けの目立った新機能は含まれておらず、セキュリティ修正が主軸となった。中でも特筆すべきは、「BYOVD(Bring Your Own Vulnerable Driver)」攻撃に関連する既知の脆弱性ドライバーに対し、ブロックリストの更新が行われた点である。これにより、特定のサードパーティ製ドライバー経由でカーネルへの不正アクセスを狙う脅威に対して防御力が強化されたと評価される。
マイクロソフトはすでにWindows 10のサポート終了を2025年10月に予定しており、今回のアップデート内容はその移行期を反映したものと捉えるべきである。新機能を積極的に提供する段階から、既存システムの保護と安定性維持へと重点がシフトしている。旧環境を継続利用する法人ユーザーにとって、セキュリティの確保とサポート終了後のリスク管理が喫緊の課題となるため、Linuxなど他OSへの転換も含めた中長期的な判断が求められる状況にある。
Source: ExtremeTech