Qualcommは、次世代ミッドレンジ向けSoC「Snapdragon 7 Gen 4」を発表した。製造はTSMCの4nmプロセスで行われ、前世代比でCPU性能が27%向上しつつ、最新の生成AI処理やStable Diffusionによる画像生成に対応する。Adreno GPUやISPも刷新され、最大200MPカメラや4K/60fps HDR動画などハイエンド級の撮影性能を提供する。

通信機能ではWi-Fi 7や5Gモデム、LE AudioやaptX Losslessなど高品質な音声伝送もサポート。また、LPDDR5xメモリやUFS 3.1ストレージ、144Hzディスプレイまで幅広い対応を実現している。初搭載端末はHONOR 400およびVivo S30で登場予定とされるが、これらの仕様がミドルレンジ市場の性能基準を再定義する可能性もある。

Snapdragon 7 Gen 4が実現した次世代ミドルレンジの性能水準

Snapdragon 7 Gen 4は、TSMCの4nmプロセスを採用し、前世代比で27%のCPU性能向上を実現した。構成は1+3+4のオクタコアで、Cortex-A720プライムコアを中心に最大2.8GHzの高クロック動作に対応する。この設計は、処理性能と消費電力の最適なバランスを図りつつ、ミドルレンジでありながらハイエンドに迫る動作環境を提供する点で注目される。

また、最新のAdreno GPUの搭載により、OpenGL ES 3.2やVulkan 1.3への対応が進み、HDR10+などの映像フォーマットも網羅された。Snapdragon Elite Gaming技術も搭載され、ゲーム中の応答性や画質の向上に寄与する。

こうした総合的な強化は、Snapdragon 7シリーズにとって進化の大きな節目といえる。特に200MPの静止画撮影や4K HDR/60fps動画の対応は、従来ハイエンドモデルに限られていた性能領域を中価格帯にまで拡張するものである。今後登場予定のHONOR 400およびVivo S30の搭載によって、実機での体験がどの水準に達するかが焦点となる。パフォーマンスと機能の両立という観点から、Snapdragon 7 Gen 4はミドルレンジ市場の基準を一段引き上げる起点になる可能性がある。

AIと通信機能の飛躍的進化が示すモバイルSoCの新たな方向性

Snapdragon 7 Gen 4のもう一つの革新は、端末上での生成AI処理の対応である。Hexagon NPUはINT4、INT8、INT16の混合精度に対応し、Stable Diffusionを用いた画像生成や、大規模言語モデル(LLM)の実行をスマートフォン単体で可能にしている。

これにより、クラウド接続を前提とせずとも高度なAIアシスタントや画像生成ツールが実装可能となり、アプリケーションの応答性やプライバシー保護の観点からも利点が大きい。加えて、センシングハブを活用した常時オンのAIタスクへの対応は、モバイル端末の使い方そのものを変える契機ともなり得る。

通信面でもWi-Fi 7のサポートに加え、最大4.2GbpsのSub-6GHz 5Gダウンロード速度、Bluetooth 6.0やLE Audioの採用など、先進的な規格に網羅的に対応している。さらに、Qualcomm独自技術XPANによりスマートフォンとウェアラブル機器間の通信拡張を実現しており、今後のIoT・マルチデバイス環境への布石とも受け取れる。SoCの役割が単なる演算処理からAIと通信制御を融合した統合プラットフォームへと変化している現状を踏まえれば、Snapdragon 7 Gen 4の設計思想は、ミッドレンジの枠を超えた次世代スマートフォンの方向性を象徴している。

Source: Gizmochina