Nvidiaの最新ワークステーション向けGPU「RTX Pro 6000 Blackwell」が、複数のベンチマークでGeForce RTX 5090を平均10〜15%上回る性能を記録した。特にGeekbench 6のOpenCLおよびVulkanテストでは、公式スコアを基に明確な優位性が確認され、3DMarkではオーバークロック時に5090に肉薄する結果も示された。
さらに『サイバーパンク2077』を用いた実ゲーム環境においても、4K解像度・ウルトラ設定で127FPSを達成し、実用性能の高さが裏付けられた。一方でRTX 5090との比較は異なるシステムや設定に依存しており、性能差の評価には慎重さが求められる。
RTX Pro 6000は24,064基のCUDAコアと96GBのGDDR7を備え、8,000ドル超の価格帯で提供される。Blackwell世代が業務用途においてGeForceを超える可能性を示唆するが、その真価は運用環境に応じて見極める必要がある。
RTX Pro 6000が示したRTX 5090に対する優位性の内実

Nvidiaの最新ワークステーション向けGPU「RTX Pro 6000 Blackwell」は、複数のベンチマークテストにおいてGeForce RTX 5090に対し、一定の性能上の優位性を示した。特にGeekbench 6のOpenCLおよびVulkanスコアでは、それぞれ434,166および431,723を記録し、RTX 5090の375,423および395,146を大きく上回った。この結果は、並列計算性能が重視される科学技術計算やAIワークロードにおいて、RTX Pro 6000の活用価値が高いことを示唆している。
3DMarkによるグラフィックス指標では、Time SpyおよびPort RoyalなどのスコアにおいてRTX 5090が依然として優位な場面も存在するが、RTX Pro 6000はオーバークロックによりその差を縮める結果を見せており、Time Spy Extremeでは逆転が生じた。加えて、『サイバーパンク2077』を用いた実ゲーム環境において、RTX Pro 6000は4K・ウルトラ設定・DLSS自動モードで127FPS、パストレーシング有効時でも92.54FPSを記録した。
これらの数値は、RTX Pro 6000がワークステーション向け製品としての本領を発揮する領域を確実に押さえつつ、一部のゲーム用途でも高い処理能力を示すという意外性を含んでいる。GeForce RTX 5090がコンシューマ最上位と位置づけられる中で、RTX Pro 6000はその上位互換的な立ち位置を一部のワークロードで築き始めていると言えるだろう。
性能比較に内在する検証条件の違いと評価の難しさ
RTX Pro 6000とGeForce RTX 5090の性能比較において注視すべきは、両者のベンチマーク条件の相違である。Redditユーザー「Privaterbok」が提示したRTX Pro 6000のデータと、Videocardzが提示したRTX 5090のスコアは、システム構成・オーバークロック設定・冷却条件などが異なるため、厳密な一対一比較とは言い難い。また、3DMarkスコアの中には明らかに高負荷オーバークロックされた個体も含まれており、再現性のある平均値とは異なる性質の指標も混在している。
Geekbench 6については、公式サイトのスコアが参照されているものの、GPU単体性能だけでなくCPUやメモリ環境の影響も含まれるため、スコア全体の評価にはある程度の留保が必要である。また、ゲームベンチマークで用いられた『サイバーパンク2077』のテスト環境も、DLSSの設定やパストレーシングの有無によって大きく結果が左右される性質を持つ。
こうした点を踏まえると、RTX Pro 6000がRTX 5090を完全に凌駕したと断言するのは難しく、用途や運用環境によっては両者の最適解が異なる可能性がある。特に、消費電力、価格、対応ソフトウェアの最適化状況など、ハードウェアスペック以外の観点も意思決定には不可欠である。よって、今回の比較結果はあくまで一つの参考指標と捉えるべきで、今後のより詳細な第三者検証が待たれる状況にある。
Source: Tom’s Hardware