ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2025年第1四半期の13F報告において、主要ポートフォリオに戦略的な変更を加えた。中でもバンク・オブ・アメリカの持株を7.15%削減し、評価損益に-0.8%の影響を与えた点が注目される。一方、コンステレーション・ブランズ(STZ)やプール・コープ(POOL)への投資は大幅に拡大され、それぞれ保有株数が倍増を超えた。特にSTZは22億ドルを超える規模に達し、ポートフォリオに+0.45%の寄与をもたらした。

この調整は、バフェットの掲げる「理解可能で長期的に有望、かつ優秀な経営陣を持つ割安企業を長期保有する」という投資哲学の延長線上に位置づけられる。アップルやアメリカン・エキスプレスを含む上位構成銘柄の比重は維持され、全体としては36銘柄に分散される中でも、金融や生活必需品分野への集中が続いている。

バフェット、バンク・オブ・アメリカ株を削減 ポートフォリオへの影響は限定的

2025年第1四半期において、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、保有するバンク・オブ・アメリカ株を4,866万株削減し、持株比率を約7.15%引き下げた。平均取引価格は44.56ドルであり、ポートフォリオ全体への影響は-0.8%にとどまっている。同株の過去3ヶ月の株価は-4.90%と軟調に推移しており、これが売却判断に影響を与えた可能性がある。ただし、バンク・オブ・アメリカは依然としてポートフォリオ内で4番目に大きい構成比(10.19%)を占めており、完全撤退ではない点が注目される。

この動きは、バフェットが掲げる「長期的に有望かつ誠実な経営を持つ企業に投資する」という哲学の中で、見直しと調整の一環と位置づけられる。銀行業界に対する中長期の見通しに慎重な姿勢が示されたとも読めるが、全体ポートフォリオにおいて金融株の比重はなお高く、方向転換とまでは言えない。資本効率とリスクの最適化を狙ったバランス調整とみられる。

コンステレーション・ブランズとプール・コープの大幅買い増し 集中投資の妙

一方でバフェットは、同四半期においてコンステレーション・ブランズ(STZ)を638万株、プール・コープ(POOL)を86.5万株、それぞれ新規に買い増し、大規模なポジション拡大を図った。STZの保有株は1,200.9万株へと増加し、113.52%の急増を記録。評価額は22億ドル超に達し、ポートフォリオ全体への貢献は+0.45%となっている。POOLも144.53%の増加となり、評価額は約4億6,600万ドルにのぼる。

両社はいずれも、米国市場における安定的な収益構造を有しており、長期的な消費需要の継続が見込まれる点で、バフェットの投資哲学に適合する。特にSTZはアルコール飲料ブランドを中心に幅広いポートフォリオを展開しており、景気後退局面でも耐久性のある収益源とされている。バフェットの資産配分から読み取れるのは、ハイテク偏重とは異なる、実体経済に根差した企業群への信頼と、キャッシュフローの質を重視する姿勢である。

銘柄の入れ替えが示すポートフォリオ管理の規律と一貫性

2025年Q1の13F開示では、保有株のうち3銘柄を完全に売却している。シティグループ、ヌー・ホールディングス、さらに明示はされていないが複数の小規模ポジションが整理されたと考えられる。特にシティグループは約1,463万株を手放し、-0.39%の影響をポートフォリオに与えた。また、ヌー・ホールディングスも約4,018万株を売却し、-0.16%の影響にとどまった。これらの売却は、バフェットが掲げる厳格な評価基準に照らして、持続的な競争優位性が薄れたか、期待収益との乖離が生じた結果と考えられる。

同時に、ポートフォリオ全体は36銘柄で構成され、Apple(25.76%)やAmerican Express(15.77%)、Coca-Cola(11.07%)など、過去に一貫して保有されてきたコア資産が堅持されている。この構成は、集中と分散を両立させたバフェット流の資産管理手法の典型であり、短期的な株価変動に左右されない方針が貫かれている。売却と買い増しを通じて、財務基盤と競争力を再確認しながらリスクを適正にコントロールする姿勢が際立っている。

Source: GuruFocus