アメリカとアラブ首長国連邦(UAE)による最新AIチップの輸出合意が報じられ、Nvidia株への関心が急速に高まっている。暫定契約では年間50万個の供給が予定されており、そのうち10万個はUAEの先端企業G42に直接販売され、残りは同国で事業展開するMicrosoftやOracleなどが利用する見通しとされる
これによりNvidiaは数十億ドル規模の新たな収益源を得る可能性があり、中国と米国に依存していた事業構造に地域的な広がりが加わることになる。KeyBancのジョン・ヴィン氏はAIによるデータセンター成長の構造的恩恵を背景に、Nvidiaの株価にはさらに40%の上昇余地があるとし、トランプ前大統領による湾岸諸国訪問を通じた契約形成が同社の長期的展望を押し上げる要因となっていると分析した。
年間50万個のAIチップ供給契約がNvidiaにもたらす構造的変化

NvidiaはアメリカとUAEの合意により、年間50万個規模のAIチップを輸出する新たな収益源を獲得した。うち10万個はUAEのG42に直接販売され、残る40万個は同国内で事業展開するMicrosoftやOracleなどの米系企業に供給される見通しである。この供給枠は2027年までの契約だが、最大2030年まで延長される可能性が報じられており、長期的収益の安定化が期待されている。
これまでNvidiaは米中市場に依存し、収益の半分以上をこの二国で占めていたが、今回の合意によって中東への販路が開かれたことは、顧客構造の分散化に大きく貢献する。加えて、NvidiaのAIチップが高性能なクラウドインフラの中核技術として認識されつつあることを示す事例とも言える。地域的拡大と販売先の多様化が、地政学的リスク回避と成長性の両立を可能にし、同社の持続的な事業運営の強固な足場となりうる。
株価急騰とアナリストの強気見通しが示す市場の評価
KeyBancのアナリスト、ジョン・ヴィン氏はリサーチノートで、NvidiaがAI・機械学習(ML)によるデータセンター市場の「構造的成長」の恩恵を受ける独自の地位にあると指摘し、同社の目標株価を190ドルに設定した。これは現在の株価水準からさらに40%の上昇余地を示しており、近時の40%超の反騰後も株価の伸長が継続するとの見解である。
また、ドナルド・トランプ前大統領が中東訪問を通じて取りまとめた数十億ドル規模の契約群が、Nvidiaにとって中長期的な需要安定と実需に裏打ちされた業績拡大の基盤となるとされている。とりわけHumain社との複数年契約はAIインフラにおける実装力を物語るものであり、Nvidiaの市場優位性をさらに補強する材料となっている。株価の上昇は短期的な投機熱ではなく、事業構造と需要動向に根差した実質的な評価に基づいている可能性が高い。
ウォール街が維持する「強い買い」評価の背景
現在、Nvidia株に対するウォール街のコンセンサス評価は「Strong Buy(強い買い)」であり、平均目標株価は約166ドルとされている。この水準は現状の株価よりも20%以上高く、さらなる上昇の可能性を市場全体が意識していることを示している。高値を更新したにもかかわらず評価が維持されている点は、短期的な材料以上に中長期的な収益見通しへの信認が背景にある。
特にAI関連の半導体需要が構造的に拡大し続けている中で、Nvidiaはその中心的供給者として圧倒的な優位を維持している。今回のUAEとの契約は、こうした評価を裏づける象徴的な出来事とも言える。市場における信頼の高さは、単なる業績数値にとどまらず、Nvidiaが築き上げてきた技術的信頼性と供給実績、そして地政学的に多様なパートナー構築の巧みさに起因している。今後もこのような評価を支える土台が崩れない限り、株価の堅調推移が継続する可能性は否定できない。
Source: Barchart.com