Samsungが公開した「ポリゴン」コンセプトフォルダブルは、ランボルギーニを彷彿とさせる大胆な外観と実用レベルの完成度で、現在のスマートフォンに欠けた刺激を提示した。これにより、2021年のGalaxy S21以降、ほぼ変化のないSシリーズのマンネリ化が浮き彫りとなった。

内部性能が頭打ちとなった今、見た目の刷新こそが製品を差別化し得る最大の鍵となる。SamsungはSoCからディスプレイまで自社設計が可能な強みを活かし、もっと大胆な製品展開が可能なはずである。

現状維持に甘んじるのではなく、ユーザーの想像力を掻き立てるような変化を、実際のGalaxy S26に反映させるべきタイミングが訪れている。

ポリゴン型コンセプトが映し出すSシリーズの停滞と変化の余地

Samsung Displayが披露した「ポリゴン」フォルダブル端末は、単なるデザイン遊びではなく、実用化に近い完成度を持つ挑戦的な作品である。この端末が示したのは、現在のGalaxy Sシリーズが抱えるデザイン的停滞との対比にほかならない。事実、Galaxy S21からS25に至るまで、外観上の変化はわずかであり、カメラ配置の微調整程度にとどまっている。Hadlee Simonsはこの現状を「本当は可能だった未来」との隔たりと表現し、ポリゴンが持つ新鮮さとの落差に言及している。

このコントラストは、単にSamsungだけでなく、業界全体が同じフォームファクターにとどまり続けている現実を象徴する。AppleのiPhoneもiPhone 11以降大きな見た目の変化がなく、中国メーカーも似たような円形カメラの繰り返しで差別化が難しくなっている。ユーザーの関心をつなぎとめるには、内部仕様だけでなく視覚的な魅力が不可欠であるにもかかわらず、その点が長年見過ごされてきた。

ポリゴンが明確に伝えているのは、Samsungが実は“もっとできる”ということに尽きる。問題はそれを量産モデルにどう活かせるかという部分にある。

デザインの刷新は機能進化と同じくらいの意味を持つ

スマートフォンの性能が成熟期を迎えるなかで、端末を買い替える動機はもはや処理性能やカメラ性能だけでは生まれにくくなっている。実際、2年前の機種でも主要なタスクは快適にこなせる上に、OSの長期サポートが標準化されつつあるため、買い替えサイクルは伸びる傾向にある。こうした環境下で注目されるべきは、製品の外観や質感といった「体験価値」であり、Edgar Cervantesが絶賛したように、ポリゴン型フォルダブルのようなデザインは、それだけで強力な訴求力を持ち得る。

SamsungはSoC、カメラ、ディスプレイといった主要技術をグループ内で垂直統合しており、外観や使用感を根本から作り変えるだけのリソースを備えている。にもかかわらず、従来のGalaxy Sシリーズにそうした大胆なアプローチが反映されてこなかったのは、保守的な販売戦略にとどまっている証左とも取れる。変化を避けてきた結果、ラインナップ全体が見た目にも機能面にも停滞感を帯びるようになった。

ポリゴンのような挑戦的な提案こそが、次なる世代のGalaxyに求められる差異化の鍵を握っている。既存の延長線ではなく、驚きを提供できるデザインこそが、次の購買行動につながる条件になりつつある。

次期Galaxy S26はポリゴンの精神を継承できるのか

C. Scott Brownが指摘するように、ポリゴン型フォルダブルは単なるアイディアにとどまらず、Samsungのデザイン力と技術基盤の融合によって生まれた実用レベルのコンセプトである。その発想が次期Galaxy S26にどう反映されるのかは、多くの注目を集める要素となる。現状の流れから見れば、S26もまた前モデルからの小幅な進化にとどまる可能性は否めないが、ポリゴンが見せた世界観を無視することは、ユーザーの期待を裏切る行為になりかねない。

特にSamsungはZ FoldやZ Flipといったフォルダブル製品をすでに市販しており、新しい形状や機構に対する耐性と経験があるブランドである。デザインを攻める素地は整っており、それをSシリーズにも展開できれば、新鮮さと信頼性を両立した端末として大きな支持を得る可能性がある。ただし、それには展示会での「夢物語」に終わらせず、量産モデルとして具現化する勇気と判断が求められる。

S26が従来の延長線から抜け出すことができれば、ポリゴンは単なる展示品ではなく、次世代Galaxyの幕開けを告げる予兆として語られる存在となるはずだ。

Source:Android Authority