Galaxy S26シリーズで、Samsungはステンレス構造を採用した「SUS CAN」バッテリーを導入する可能性が浮上している。エネルギー密度や充電性能の向上、膨張抑制など複数の利点が報じられており、従来のリチウムイオンパウチセルからの構造的転換といえる。
この技術は、AppleのiPhone 16 Proにも搭載されているとされるが、Pro Maxモデルでは従来型が確認されており、適用範囲にはばらつきが見られる。また、新方式はEUが2027年に義務化予定のユーザー交換式バッテリーにも対応し得る点が注目されている。
一方で、構造的制限によりバッテリー容量の縮小も懸念されており、期待されていたシリコンカーボン技術の採用が見送られる可能性も残る。Samsungの選択がユーザー体験にどのような影響を与えるのかは、今後の詳細発表を待つ必要がある。
SUS CANバッテリーがもたらす構造変化とGalaxy S26への影響

Galaxy S26シリーズでは、Samsung SDIが開発中の「SUS CAN」と呼ばれるステンレス筐体の新型バッテリーが採用される可能性が浮上している。従来のリチウムイオンパウチセルから脱却し、金属外装による耐久性の強化やエネルギー密度の改善が見込まれており、膨張トラブルの抑制にも一定の効果があるとされている。この新構造は、すでにiPhone 16 Proに一部採用されているとも報じられ、先進機種への導入が始まりつつある段階である。
一方で、Galaxy S26がこの技術を採用した場合、内蔵スペースの制約からバッテリー容量が従来よりも抑えられる可能性もある。ユーザー交換式を視野に入れた構造変更であれば、筐体全体の設計バランスにも大きな影響が及ぶ。Samsungが選ぶアプローチ次第で、次世代フラッグシップの評価は大きく左右されることになる。バッテリー性能は単なる容量の数字だけでなく、耐久性や発熱、安全性といった複数の要素が絡むため、技術の進化と実装戦略の兼ね合いが重要となる。
EU規制とバッテリー交換義務への対応としての戦略転換
2027年に施行予定のEU規制では、すべてのスマートフォンに対してユーザー自身によるバッテリー交換を可能にすることが義務づけられる。この背景に対し、Samsungが採用を検討しているSUS CANバッテリーは、従来の接着・密閉構造から脱却し、構造的に分解や交換が容易な設計を想定していると見られる。小型で角張った形状の電池を用いることで、古き良きフィーチャーフォンのような着脱性のある設計が復活する可能性も指摘されている。
これは単なる製品設計の話ではなく、規制対応を通じた製品思想の転換でもある。スマートフォンの進化とともに失われた「修理性」や「長期使用」を取り戻す動きと捉えれば、これは市場全体に波及する兆しでもある。ただし、交換可能性を重視するあまり、容量や高密度化が犠牲になるようであれば、性能にこだわるユーザー層とのミスマッチが生じかねない。Samsungは今後、利便性とパフォーマンスの最適解を見極めながら設計に取り組む必要がある。
シリコンカーボンではなくSUS CANを選んだ理由と今後の展望
Galaxy S26では、期待されていたシリコンカーボンバッテリーの導入が見送られる可能性が高まっている。近年、XiaomiやOppoなどが高密度のシリコンカーボン技術を採用し、急速充電や大容量化を実現している中で、Samsungが金属構造の従来型リチウムイオンセルを採用する判断は一見すると後退にも映る。しかし、SUS CANバッテリーは密閉性・強度・耐膨張性といった点で現実的な選択肢として位置づけられている。
シリコンカーボンには高密度化という利点がある一方で、コストや量産安定性、発熱制御といった課題が残るとされており、Samsungが現時点で慎重な姿勢を取るのは合理的とも言える。SUS CANは過渡的な技術として、従来構造の延長線にある進化型バッテリーと見なすべきだろう。今後、Samsungがこの技術を足がかりにしつつ、真の次世代電池である全固体や高密度材料へとどうステップアップするかが、モバイルバッテリー技術の次なる焦点となる。
Source:Android Authority