2025年第1四半期、AMDはサーバー市場において過去最高の収益シェア39.4%を記録し、前年同期比で6.5ポイント、前四半期比で3.1ポイントの成長を示した。Zen 4アーキテクチャのGenoaとBergamo製品が成長を牽引し、次世代のZen 5 Turinの展開が今後の加速を予感させる。
同時にデスクトップCPU分野でもx86出荷台数シェアが28%、収益シェアは34.4%に達し、Ryzen 7 7800X3Dなどのゲーミング向け製品が市場を主導している。さらに、モバイル市場でもRyzen AIシリーズの展開により収益・出荷シェアの拡大が続いており、AMDはx86全体で31.6%の収益シェアを確保した。
継続的な製品革新とプラットフォーム戦略により、AMDはx86市場全体で影響力を強めており、Zen 6の開発も進行中とされる中、今後の市場展開に大きな注目が集まっている。
サーバー収益シェア39.4%の到達とZen 4世代の寄与

2025年第1四半期、AMDはサーバー市場において収益シェア39.4%を記録し、自社史上最高水準に達した。Mercury Researchによると、これは前四半期比で3.1ポイント、前年同期比で6.5ポイントの大幅な伸長である。出荷台数シェアにおいても27.2%となり、こちらも着実に上昇を続けている。
この成果を支えたのは、Zen 4アーキテクチャを採用するEPYC GenoaおよびBergamoファミリーの存在であり、高密度・高効率な設計がクラウドおよびエンタープライズ領域において確実に浸透した。
収益ベースでの成長が著しい点は、単に販売数量ではなく、単価の高いハイエンド構成が選好されたことを示唆する。Turin(Zen 5世代)の市場投入が進めば、今後さらに構成単価と性能効率の両面で優位性を強化できる可能性がある。ただし、Intelの反攻やArmベースサーバーの拡大といった競争環境の変化も視野に入れた戦略展開が必要となる。EPYC製品の持続的な拡張力が鍵となるのは明白であり、次世代アーキテクチャの商用化タイミングが市場支配力を左右する要素となる。
デスクトップ出荷台数シェア28%とRyzen X3D系の市場牽引力
x86デスクトップCPU市場においても、AMDは出荷台数シェア28%、収益シェア34.4%を獲得した。これは前年同期比で大幅な伸びを示しており、Ryzen 7 7800X3DやRyzen 7 9800X3Dといった3D V-Cache搭載製品の高性能が、ゲーミングおよびクリエイティブ用途で圧倒的な支持を集めた結果といえる。また、16コアや12コアといった多コア構成のラインナップも評価され、コンテンツ制作や動画処理といった負荷の高い用途において、選択肢としての競争力を確保している。
収益シェアの拡大は単なる数量成長では説明できず、プレミアムセグメントにおける存在感の増大が明らかである。AMDが訴求する「高性能と省電力の両立」は、消費者の選好と合致しており、インフレ環境下でもパフォーマンス対価格の観点から優位性が示されている。ただし、IntelのCore Ultraシリーズやハイブリッドアーキテクチャの強化は、一定の警戒を要する。AMDの競争優位は現時点で明確だが、技術革新と市場価格の均衡を保ち続ける必要がある。
モバイル向けx86市場の拡張とAI対応APUの戦略的位置づけ
モバイル分野においても、AMDは2025年第1四半期に出荷台数シェアを前年同期比で3.6ポイント、収益シェアを9.0ポイント拡大させた。特に注目すべきは、Ryzen AI 300シリーズおよびAIアクセラレーションを搭載したStrix HaloやFire RangeといったAPU製品の投入である。これらはノートPC市場での新たな差別化要素として機能しており、消費電力制限下でも高性能な処理能力を提供できる点で競争力を発揮している。
モバイル分野はこれまでIntelの支配が続いてきた領域であり、ここでのシェア拡大はAMDにとって戦略的な意味を持つ。AI処理を前提としたアーキテクチャの導入は、単なる性能競争にとどまらず、ソフトウェア最適化やNPUの活用といった付加価値競争への転換を示唆している。ただし、実運用におけるパフォーマンスや電力管理技術の成熟度には継続的な改善が求められる。今後のRyzen AI MAXやZen 6世代が市場全体に与える影響は、エッジデバイス戦略の成否を左右する要因となる。
Source:Wccftech