PCパーツメーカーDeepCoolは、来週開幕するComputex 2025を前に、AK G2シリーズCPU空冷クーラーに木目パネルを施した新モデルを発表した。木材調の意匠はプレスリリースで明言されていないものの、公式画像により実在が確認されており、機能性と外観デザインの両立を志向する自作PC市場の流れを象徴する試みといえる。
AK G2シリーズは高性能熱制御、静音動作、AIスマートファン制御、最新ソケット対応といった改良点を備えており、装飾性を加えることでプレミアム市場での訴求力を高める狙いが読み取れる。米国市場では依然として制裁リストにより展開が困難な状況だが、アジア圏や欧州市場における需要獲得に向けた戦略とみられる。
木目パネルを採用したAK G2は自作市場の新たな趣向を反映

DeepCoolがComputex 2025に先立ち発表したAK G2シリーズCPUクーラーは、外観に木目調の装飾パネルを施すことで、従来の性能一辺倒の設計から脱却し、インテリア性と感性を重視するユーザー層への訴求を強めた。
AK G2は、ACT(Activate Clearing Tech)による0RPMスタート機能やAIによるスマートファン制御、Intel LGA1851とAMD AM5対応のオフセットマウントといった機能的進化を遂げており、木目の追加はこれらの技術に美的要素を加える形となった。なお、木目仕様はプレスリリースに明記されなかったものの、SNS上の画像投稿や公式ギャラリーから存在が裏付けられている。
外観の装飾に天然素材を模した仕上げを用いる事例は高級キーボードやケースでは増えているが、冷却装置においては依然として稀である。AK G2のこうした試みは、PCパーツの趣味性と空間調和性を高めたい需要の高まりに対応したものであり、単なる視覚的演出以上の意味を持つ可能性がある。
ただし、木目仕様はデジタルディスプレイ搭載モデルと併用できない構造となっており、デザインと情報表示機能の両立には技術的な制約が残されている。とはいえ、インテリアと調和する外観を求める中級~上級ユーザーにとって、AK G2は十分に差別化された選択肢となり得るだろう。
DeepCoolが提案する冷却ソリューションの多様化とフラッグシップ戦略
AK G2に加え、DeepCoolは同時にAssassin VC Elite WHをはじめとした高性能空冷モデルや、SpartacusおよびLQ Ultraといったフラッグシップ級の一体型水冷クーラーも予告している。特にAssassin VC Elite WHは、AMDとIntel双方の高TDPプロセッサに対応し、静音性を保ちながら冷却性能を最大化する設計が施されている点で注目に値する。気化室(ベイパーチャンバー)技術の導入は、DeepCoolが空冷市場でも最上位性能帯に挑む姿勢を示しており、ブラックモデルに先駆けてホワイト仕様を投入した点も、デザイン志向の変化を示唆している。
また、一体型水冷クーラーでは、Spartacusが3.4インチLCDとアルミニウム構造を、LQ UltraがARGB HaloポンプとLCDステータス表示を特徴とし、それぞれ360mmおよび420mm、240mmおよび360mmのラジエーターオプションを提供する。さらに、水冷前提のPCケースとして、Genome IIIやCL6600といった新筐体も同時発表されており、ユーザーの構成ニーズに応じて柔軟なラインアップ展開が意識されている。
このように、DeepCoolは従来の空冷中心から、水冷、デザイン性、カスタム性を融合させたプレミアム志向の製品構成へと転換を進めている。ただし、米国財務省による制裁リストの影響により、これらの製品が米国内で正規流通する見込みは薄く、同社にとってはアジアや欧州を主戦場とした戦略が求められる局面が続いている。
Source:Tom’s Hardware