Epic Gamesは、App Storeへの「Fortnite」再提出をAppleが米国とEUで妨害していると主張した。米国では2025年5月9日と14日に2度にわたりアプリを提出したが、Apple側の対応がなく、EpicはX(旧Twitter)で全世界での配信停止を告知。一方Appleは、Epic Swedenに米国を除外した形での再申請を求めたと説明し、EUでの配信妨害を否定している。

Appleの対応にEpicが反発 再提出は2度とも拒否されたか

Epic Gamesは、2025年5月9日と14日に米国App Storeに「Fortnite」を再提出したが、Appleは一貫してこれを受け付けなかったと主張している。Epic側は、同作が全プラットフォームで同時にアップデートされる設計であることを理由に、1回目の申請を一度取り下げたが、再提出も承認されなかった。これに対し、EpicはXで「Appleがブロックを解除するまで、iOS版Fortniteは世界中で利用できない」と告知した。Appleとの長期にわたる対立が再燃したかたちである。

一方でAppleは、このEpicの主張に異議を唱えており、Epic Swedenに対しては米国を除く形で再提出するよう要請していたと説明している。欧州向けマーケットプレイスからの締め出しは行っていないと明言しており、Epicの主張には誇張がある可能性も否定できない。法廷での勝利を経たEpicが実際の運用面で苦戦している様子が浮かび上がっている。

法廷闘争後の現実 アプリ配信は未だ平常に戻らず

Epic Gamesは、2020年から続くAppleとの訴訟合戦において、アプリ内課金に関する規制緩和を実現させた。2025年初頭には米国で外部決済導入の道が開かれ、5月には実際に「Fortnite」を再提出する段階にまで至っている。しかし、EpicによるとAppleはこれを受理せず、アプリの復活は阻まれているという。つまり法的には開放されたように見えても、技術運用や実務判断の領域で再び障壁が生まれている状況だ。

この事態は、規制によって表面上のルールが変わっても、実際の配信環境には依然として強いプラットフォーマーの裁量が働いていることを示唆している。特にiOS上での配信はAppleのインフラに大きく依存しており、法律や制度の改正だけではアプリ開発者にとって十分な自由が保証されるとは限らない。今回の一件は、Epicと同様にAppleへの提出を検討する他の開発者にとっても重要な前例となる。

EUへの影響も拡大 代替ストア導入直前の緊張

Epic Gamesは、2025年からEUで義務付けられるDMA(デジタル市場法)に基づき、iOS上での代替アプリストアの提供を進めていた。Fortniteもそれにあわせて再リリースされる予定であったが、Appleの動きにより欧州での展開にも影響が出ていると指摘されている。ただしApple側は、EU域内での配信ブロックは一切行っていないと否定しており、両者の主張は食い違っている。

DMAの施行はAppleの支配力に変化をもたらすとされていたが、今回の事例はその実効性に対する懸念も浮上させる。制度としての開放性が進んでも、プラットフォーム運営企業の運用次第では、新たな制約が形を変えて現れる可能性もある。Epicによる訴えは、この移行期におけるプラットフォーム間の力関係と、新たなストアエコシステムの形成に向けた不透明さを象徴するものとなっている。

Source:TechCrunch