NvidiaがAIインフラ企業CoreWeaveに対して2024年第1四半期末時点で9億ドルを出資していたことが明らかとなり、同社株は直近1カ月で140%の急騰を記録した。2024年売上高は50億ドルに達すると予測され、前年比4.6倍という成長期待が注目を集めている。一方で、Melius Researchのアナリストであるベン・ライツェス氏は、資産担保証券に依存した資金調達や巨額の設備投資計画を懸念材料とし、CRWV株は過大評価されている可能性があるとの見解を示した。
Nvidiaの支援により短期的には上昇余地が残ると見られるが、2025年に向けた長期的視点では、BroadcomやNvidia本体の方が安定性の観点から優位とする声も根強い。ウォール街の平均目標株価は50ドル前後であり、現在の株価水準から35%超の下落リスクも指摘されている。
CoreWeaveが記録的増収を達成 Nvidiaの大型出資が示すAIインフラ需要の実態

CoreWeaveは2024年第1四半期に9億8200万ドルの売上を記録し、前年比で400%以上の増収を達成した。これは生成AI向けクラウドインフラ市場における実需が、想定以上に堅調であることを明確に裏付けている。こうした好決算と並行して、Nvidiaが同社に対して9億ドルを出資していたことがSEC提出書類で明らかとなった点も、CoreWeaveの成長力に対する市場の評価を映す材料である。株価も過去1カ月で140%上昇するなど、短期的な反響は非常に強い。
しかしこの急成長には、設備投資の規模と財務構造への懸念も伴っている。2024年通期で50億ドルの売上を見込む一方で、ガイダンスでは230億ドルの設備投資を予告しており、資産担保証券を用いたレバレッジの高さが収益構造の持続性に影を落とす。
第1四半期のフリーキャッシュフローも▲190億ドルに達するとされており、資本効率への懸念は無視できない。市場の期待と経営の財務健全性の間には乖離が存在し、成長シナリオの実現可能性は慎重に見極める必要がある。
2025年のCRWV株評価に対する警戒感 安定性を欠く成長戦略にウォール街が慎重姿勢
CoreWeaveの株式は急騰を続けているが、ウォール街ではその評価を見直す動きが広がっている。Melius Researchのベン・ライツェス氏は、同社の事業規模拡大が想定する需要成長率は過大であり、資本支出の急増が財務の不確実性を高めていると指摘している。
彼は目標株価を67ドルと設定し、現在の株価水準から15%以上の下落余地があると見積もる。また、資産担保証券を活用した資金調達への依存を「リスクの根源」と表現し、構造的な脆弱性に警鐘を鳴らしている。
さらに、他のアナリストも同様に慎重な評価を示しており、Barchartが報じたコンセンサスは「やや買い」に留まる。平均目標株価は50ドル前後で、現状の水準から35%を超える下落リスクが内在する可能性がある。短期的にはNvidiaによる出資が安心材料となり得るが、長期の資本回収力やマクロ環境の変動を考慮すれば、安易な上値追いは避けるべきとの見方が浮上している。今後の評価は、収益の質と資金調達構造に対する市場の信頼度に左右される展開が予想される。
Source: Barchart