AIソリューション企業パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が今週、130ドル超まで上昇し過去最高値を更新した。背景には、バンク・オブ・アメリカによる目標株価の引き上げと、同社幹部による初の株式購入がある。
2025年第1四半期の売上は前年同期比39%増の8億8,390万ドルで、粗利益率も82%に達し、政府・商業両部門の急成長が数字を押し上げた。顧客数も前年から39%増の769社へ拡大しており、米国内市場での収益比率は71%に達している。一方で、PERは220倍と割高感が強まり、目標株価との乖離も顕著となっている。
四半期決算で明らかとなったパランティアの構造的成長力

パランティア・テクノロジーズは、2025年第一四半期において前年同期比39%増の売上を記録し、8億8,390万ドルに達した。粗利益率は82%に及び、営業利益も調整後で3億9,070万ドルと高水準を維持している。特筆すべきは、政府関連売上が前年比45%増の構成比55%、商業部門も33%増で残り45%を占めるなど、両輪の成長が実現している点にある。
また、米国の商業売上は71%増の2億5,500万ドルに拡大し、全体売上の71%が米国内で構成されている。顧客基盤も769社へと39%拡大し、上位20社からの平均売上が26%増加したことは、既存顧客との関係深化と大口契約の拡大を裏付けている。研究開発費用は23%、販売・マーケティング費用は22%増と、成長投資を継続する姿勢も鮮明である。
これらの事実は、同社が単なるAIブームの恩恵を受ける企業ではなく、持続的な収益構造を備えた企業へと変貌しつつあることを示す。ペンタゴンとの契約実績に加え、大統領令による国防調達優遇措置の恩恵も見込まれ、今後の官公需拡大が視野に入る。拡大する米国市場の中で、財務の健全性と成長投資の両立を維持できるかが次の焦点となろう。
バリュエーションと市場評価における過熱感の兆候
パランティア株は2023年初頭から急騰を続け、現在は1株128ドル付近で取引されている。過去2年で1,250%超の上昇を記録しており、バンク・オブ・アメリカが目標株価を125ドルから150ドルに引き上げたことや、初の内部者買いが追い風となっている。一方、現時点の予想PERは220倍と、過去5年平均の126倍を大きく上回っている。2022年の弱気相場ではPERは33倍に過ぎなかったことを踏まえると、現在の株価は割高との見方が強まりつつある。
市場アナリストの評価は分かれており、カバレッジ対象の23名中、「強い買い」は3名にとどまり、「ホールド」が12名、「強い売り」も4名存在する。平均目標株価は93.89ドルと、現値よりも約27%下方に乖離している。市場が織り込む将来成長に対し、業績の実態とのギャップが拡大している状況がうかがえる。今後も継続的な業績拡大と政府支出の拡大が株価の正当化要因となるが、短期的な投資妙味と長期的な企業価値のバランスを慎重に見極める必要がある。
Source: Barchart.com