ARK Investを率いるキャシー・ウッドが、AI分野の「隠れた有望株」としてソフトウェア開発支援のGitLab(GTLB)に1800万ドルを投じた。DevSecOpsプラットフォームで企業の開発全体を支援する同社は、売上成長と収益性改善に加え、AI統合製品「GitLab Duo」の普及が進んでおり、大手企業との導入実績も拡大している。

足元の株価は過去最高値から60%下落しており、投資家にとっては再評価の好機となる可能性がある。2026年度の売上成長率見通しは24%、フリーキャッシュフローの急拡大が予測されており、今後のバリュエーション改善と市場評価の上昇には十分な根拠があると見られる。

GitLabが展開するAI戦略とDevSecOps強化の実態

GitLabは、クラウド環境におけるソフトウェア開発の全行程を統合的に支援するDevSecOpsプラットフォームを提供しており、AI領域における新たな取り組みとして「GitLab Duo」スイートを強化している。Duo Proではコード生成支援、Duo Enterpriseでは開発全体へのAI統合を進めており、既にBarclaysやCapgeminiなどの大手顧客による導入が始まっている。さらに自律的にバグ修正などを行うAIエージェント「Duo Workflow」のプライベートベータも開始されており、生成AIによるソフトウェア開発の効率化が現実のものとなりつつある。

こうした製品群は、顧客の年間定期収益(ARR)の構成比において「Ultimate」プランが50%を占めている事実からも、セキュリティやコンプライアンスを重視する企業から高く評価されていることが読み取れる。ドルベースのネットリテンション率も123%と高水準を維持し、そのうち75%がライセンス席数の拡張に起因している。

GitLabはAIの普及によって開発者需要が減退するとの懸念に対し、むしろコード生成量の増加によりプラットフォームの必要性が高まると説明しており、AI活用を“脅威”ではなく“推進力”と捉えている点が注目される。

株価下落と評価ギャップが示す投資妙味

GitLabは2021年後半に上場したものの、2025年5月時点では過去最高値から60%下落しており、株価の水準は依然として市場の慎重姿勢を反映している。ただし業績は堅調に推移しており、2025年度第4四半期の売上高は前年同期比29%増の2億1,140万ドル、通期では31%増の7億5,900万ドルを記録した。調整後営業利益率も18%まで改善し、前年から960ベーシスポイント上昇した点は、収益構造の質的転換を裏付けている。

2026年度の売上予測は9億3,600万〜9億4,200万ドル、非GAAPベースの営業利益は1億900万〜1億1,400万ドルを見込んでおり、責任ある成長とR&D強化の両立を明示している。アナリスト予測では2025年度のEPSが0.74ドル、2030年度には2.01ドルまで拡大するとされており、フリーキャッシュフローも5年間で5倍近い増加が期待されている。

フリーキャッシュフロー倍率を30倍と仮定すれば、今後4年間で株価が80%超上昇する余地があるとの見方もあるが、これは将来的な成長が現在の市場評価に織り込まれていないことを示唆している。中長期での再評価の可能性が意識される局面である。

Source: Barchart