Microsoftは、Windows 11のCanaryチャネル向けに新たなビルド27858を公開し、タスクバーとデスクトップに注目すべき変更を加えた。新たに絵文字パネルへ即時アクセス可能なボタンがタスクバー右下に追加され、従来のショートカットキーと並行して使用が可能となる。また、Snipping Toolなど一部Windowsアプリの背景プレートが削除され、デスクトップアイコンがより大きく、視認性の高い表示に刷新された。

加えて、ナイトライト機能やWi-Fi接続、UIクラッシュなどの複数の不具合も修正されており、安定性の向上も図られている。ただし、Copilot+ PCにおけるPIN関連の不具合や、ペン入力が反応しない既知の問題も残されており、運用には注意が必要である。

タスクバーに追加された絵文字ボタンがもたらす操作性の変化

Windows 11ビルド27858で導入された新機能のひとつに、タスクバーに絵文字パネルを開くための専用ボタンが加わった点がある。これまで絵文字の挿入は「Win + ピリオド」キーのショートカットによって行われてきたが、今回の追加により視覚的なアクセスが可能となり、操作方法の選択肢が広がった。このボタンはトレイアイコンの一部として表示され、右クリックで無効化することもできるため、好みに応じたカスタマイズが可能である。

視覚的なアプローチによって、マウス操作主体の利用者でも直感的に絵文字機能を使えるようになることが期待される。ただし、キーボード操作に慣れた利用者にとっては冗長な機能と映る可能性もあり、実際にどれだけ有用とされるかは利用スタイルに左右される。既存の操作体系を維持したまま、選択肢としての機能を追加したこの設計は、柔軟性のあるユーザー体験を志向するMicrosoftの姿勢を反映していると言える。

デスクトップアイコンの刷新がもたらす視認性と印象の変化

ビルド27858では、Snipping ToolやCalculatorといったWindowsパッケージアプリのアイコン背景に使われていたカラフルなプレートが削除され、よりシンプルで洗練された外観へと変更された。この更新によって、アイコン自体のサイズが拡大され、視認性が向上すると同時に、デスクトップ上の統一感も高まった。変更を適用するには新たにショートカットを作成する必要があり、一部のユーザーにとっては煩雑と感じられる場面もあり得る。

背景プレートの廃止は、Windows全体のビジュアル方向性における転換の一端とも受け取れる。過剰な装飾を避け、機能性と視覚的明快さを重視する設計思想が読み取れる一方、プレートの存在によってアプリ種別を直感的に判別していた利用者にとっては、識別性の低下という別の課題を生む可能性がある。見た目の刷新は歓迎されがちだが、利便性とトレードオフとなる部分についても慎重な評価が求められる。

複数のバグ修正がもたらすシステム安定性の底上げ

今回のビルド27858では、デスクトップやタスクバーの改良と並行して、多数の不具合が修正されている。ファイルエクスプローラーのアクセシビリティ向上や、ウィンドウドラッグ時のUIクラッシュ問題、ナイトライトの機能停止、Wi-Fi接続障害、さらに「KERNEL_SECURITY_CHECK_FAILURE」によるシステムクラッシュの修正など、実用面に直結する更新が盛り込まれている。いずれも日常的な使用環境で遭遇しやすい問題であり、安定性に不満を抱えていた利用者にとって歓迎される内容といえる。

一方で、Copilot+ PCにおけるPINや生体認証の不具合、グループポリシーエディター起動時のエラー表示、ペン入力の無反応といった新たな既知の問題も報告されており、開発段階ならではの不安定さも依然として存在している。ビルド全体としての品質向上は明確に進んでいるものの、あくまでInsider向けの検証目的ビルドであることを踏まえ、メイン環境での使用には一定の注意が必要といえる。

Source:Neowin