Nvidiaが最新ドライバで旧世代CPUのサポートを復活させたことにより、Intel Core 2 QuadとRTX 5060 Tiの異例な組み合わせが一部で注目を集めた。技術愛好家Bob Ponyがこの構成での動作を確認し、初期段階では一定の成功を報告したものの、その後の検証でレイトレーシングを用いる現代ゲームには対応できないという制約が明らかとなった。特に、Quake II RTXの実行不可といった実証結果が象徴的であり、旧世代CPUが命令セットの不足により足かせとなっている実態が露呈している。

こうした挑戦的な構成は、レトロPCコミュニティにおいては一定の可能性を示すが、最新ゲームの環境としては現実的ではないという評価に収束しつつある。互換性リストの整備や非レイトレーシング系タイトルの掘り起こしが、今後の活用の鍵となる可能性がある。

Core 2 QuadとRTX 5060 Tiの異例な動作確認と性能限界

Nvidiaが2025年に公開した最新GeForceドライバは、POPCNT命令を必須としない仕様に改められたことで、Intel Core 2世代のプロセッサに対してもRTX 50シリーズGPUの認識を可能とした。この変化を受け、XユーザーであるBob PonyがCore 2 Quad Q9450とRTX 5060 Tiの組み合わせで実動検証を実施し、「動作した」とSNS上で発信した。特にPCIe x8接続の非Tiモデルでは非推奨とするアドバイスを交えたことで、一定の注目を集めた。

しかし、動作確認の範囲を拡張した後に投稿された内容では、Quake II RTXなどのレイトレーシング対応ゲームの大半が命令セットの不足により実行不可能であると報告された。CPUが現代のグラフィック負荷に対応できないことは、画期的な組み合わせの意義を限定的なものとする要因となっている。Tom’s Hardwareはこの試みに対して「苦戦」と評し、構成自体の動作実現に意義はあっても、現代的なゲーム環境としては不十分との見方を提示している。

この一連の検証は、古いアーキテクチャに最新GPUを組み合わせるという技術的好奇心を刺激するものであるが、その限界があまりに明確であることも浮き彫りとなった。互換性拡大の意義はあるが、実用性の面では大きな制約が伴うことは否定できない。

レトロPC環境における最新GPU活用の可能性とその展望

今回の一件は、旧世代プラットフォームに最新GPUを搭載するという斬新な構成が、一定の場面では成立し得ることを示唆した。ただし、Core 2 Quadのような2000年代後半のプロセッサが、RTX 5060 Tiの性能を活かしきるにはあまりに非力であり、現行ゲームに不可欠な命令セットや処理能力の壁に直面しているのが実情である。この構成で期待できるのは、レイトレーシングを伴わない旧作ゲームの安定動作に限定される可能性が高い。

一方で、PC自作・レトロPC愛好家の間では、こうした「実験的構成」の成果が新たな技術的試行への契機となり得る。実用性ではなくロマンを追求する視点に立てば、古いプラットフォームで最新GPUを動作させるというだけでも達成感を得られる事例となりうる。また、SNS上で互換性の情報が共有されれば、同様の構成を試みる者への有益な指針にもなる。

とはいえ、あくまで今回の結果は特定条件下における一例に過ぎず、一般ユーザーが現行GPUを旧CPUに組み合わせて活用するという選択肢は推奨されにくい。趣味領域を越えた実用的な構成として普及するには、互換性だけでなく処理能力の補完策が求められる。今回の報告は、技術的挑戦の成果として意義深いが、それ以上の広がりを持たせるには慎重な検討が必要となる。

Source:Tom’s Hardware