AMDは次世代GPU「Radeon RX 9060 XT」を5月21日に発表すると公式Xアカウントで予告した。これはComputex 2025の2日目にあたり、前日に発表される予定のNvidia RTX 5060との競合が意識されたタイミングである。
新製品には8GBと16GBのVRAM構成が存在し、前者は初期供給が限られる見通しである。リファレンスカードは用意されず、すべてがパートナー経由での販売となる。高解像度ゲームの要求に対し、8GBモデルには性能不足への懸念もある一方、16GB版はより多くの支持を得る可能性がある。
価格設定次第でAMDはNvidiaに対し優位に立つこともあり得るが、8GBモデルが200ドル以下でない限り、予算重視層への訴求力は限定的となる。前例としてRX 9070 XTが一時的な低価格で人気を博したが、その後の価格上昇で離反を招いた経緯もあり、今回はより慎重な価格戦略が求められる。
RX 9060 XTの発表日が明確に VRAM構成と市場戦略が示すミッドレンジの競合構図

AMDは、次世代グラフィックスカード「Radeon RX 9060 XT」を2025年5月21日に発表すると明言し、Computex 2025におけるNvidiaとの競合構図が鮮明となった。今回の製品は8GBおよび16GBの2種類のVRAM構成を採用しており、8GBモデルは初期段階で供給が限られるとされる一方、16GBモデルは需要の高さが見込まれている。また、これらはいずれもリファレンスカードの提供がなく、全てボードパートナーからの発売となる。AMDは2月時点でこれらの複数モデル構成を明らかにしており、製品の柔軟性を重視する姿勢がうかがえる。
注目すべきは、このタイミングがNvidiaの「RTX 5060」発表前日である点である。Nvidiaの製品が8GB VRAMに限定されている一方、AMDは上位構成を同時展開することで、パフォーマンス重視層と予算重視層の両方に対応する構えを見せている。特に16GBモデルの投入は、高解像度AAAタイトルを快適にプレイしたいゲーマーの要求に対し、より明確な選択肢を提供するものとなる。現時点で性能スペックの詳細は伏せられているが、VRAM容量の差異がそのまま製品の差別化要因として機能する公算が高い。
ゲーム需要が多様化するなか、AMDの今回の発表は単なる新製品の公開を超えて、Nvidiaとのセグメント別シェア争いにおける布石となる。価格、供給、構成といった要素の組み合わせにより、今後のミッドレンジGPU市場に与える影響は無視できないものとなるだろう。
VRAM容量の分断が示唆するターゲット戦略と価格の鍵
今回発表が予告されたRX 9060 XTは、8GBモデルと16GBモデルの2構成で展開されるが、この差異は単なる容量の違いにとどまらない。8GBモデルは6月に限定供給で市場投入される見通しで、予算志向層をターゲットにすると見られるが、高解像度ゲームを好む層からは性能面で不満が出る可能性がある。一方、16GBモデルは最新のAAAタイトルにも十分対応できるとされ、より多くのユーザーの支持を得ることが予測される。AMDは過去にRX 9070 XTを599ドルで限定販売し好評を博したが、その後の価格上昇がユーザーの不満を招いた経緯もあり、今回の価格設定には特に注目が集まる。
SNS投稿に寄せられたコメントなどでは、8GBモデルが200ドル以下でなければ、価格を重視する層の興味を引くことは困難との見解も散見される。NvidiaのRTX 5060が8GB構成のみであることを考慮すると、AMDが価格と性能のバランスを巧みに調整すれば、ミッドレンジGPU市場で優位に立つ余地は十分にある。製品戦略上、明確なターゲット層に応じた複数構成を展開することで、AMDはより広範な市場ニーズに対応しようとしている。
ただし、競争優位を確保するためには、価格面での攻勢に加え、供給体制の安定と製品レビューの信頼性確保が欠かせない。短期的な価格訴求ではなく、中長期的にユーザーの信頼を維持するための戦略こそが、今回のRX 9060 XT成功の鍵となる。
Source:Windows Report